「いつか必ず別れが来る」と本能的に理解して、その有限性が故に存在を愛おしく感じるというのは、家族や恋人、ペットなどに対して皆さんも経験があることだと思います。私の場合、それに似た感情を伊那市の「汕」という店に対して抱いています。2024年にスタートし、2027年に幕を閉じると、最初から明言している珍しい店です。今は靴磨きや中古靴のサービスを提供する“沓”のケンジと、古着屋“nejiro”を運営するナオトの二人が、汕の物語を静かに、終わりへと紡いでいます。

お客様の紹介でまずはケンジがTTBOに来てくれるようになり、今年6月に初めて汕でトランクショーを開催させていただきました。その時の来客数が凄まじかったのは既報の通りですが、10月25日に2回目を実施することになりました。今回は時期的にフランネルやツイード、コーデュロイなどのスーツや、前回ご注文いただいたお客様にTTBO COATなどを新しい生地でご紹介出来ればと思っております。既にたくさんのご予約をいただいていることを嬉しく思うとともに「汕でのイベント、あと何回やれるだろう」と、とても良い空間だからこそ向こうの方にゴールテープが霞んで見えてきたことを物寂しく感じてしまう自分もいます。ケンジやナオトとの関係自体が途絶えてしまうわけではありませんが、残された時間は、彼らと私や岩田さん、そして長野のお客様と共に、いつ振り返っても良い思い出として想起されるものになるようにしたいなと心から思っています。

最近たまたまコートの納品が続いているので、これを機にいくつかご紹介させてください。まずは本日、先行で汕へ郵送している私のTTBO COAT。昨年はFOX BROTHERSの重たい生地で仕立てましたが、今年は打って変わってホーランド&シェリーのウィップコード、410gです。揺れる生地のドレープ感と陰影が見事で、優雅に長い季節着られるコートに仕上がりました。私はフォレストグリーンで作りましたが、同じ生地の色違いのご用意もございます。汕に近日中に展示される予定ですので、立ち寄られた際には是非お気軽にご試着ください。

お客様がEDOandYUMEKAコラボのアートライニングを採用して仕立てたラグランコート。こちらは贅沢にもドーメルのベビーアルパカ100%の生地を使用した極上モデルです。軽くてふわっふわ、そしてあたたかい。ヘリンボーンなどいくつかバリエーション違いがあるのと、少しだけお値打ちになるウールアルパカの混紡もご用意があります。一般的にスーツと違ってコートは何着も作るわけではないので、特別なものを1着仕立てるというのも良い選択肢かと。ラグランコートはゲージをaldexから借りないといけないので、オーダーを希望される方は必ず事前にご連絡いただくか、予約入力時の備考欄にその旨の記入をお願いします。


こちらは香港からのお客様に今月納品するカシミヤのTTBO COAT。お身体の大きいお客様なので、コートとして仕上がると圧倒的な存在感。キャメルカラーのコート、大人の男なら誰しも1着は欲しくなりますよね。ホーランドのカシミヤは非常に高額になりますが、アルパカと同じく保温性は抜群。伊那市をはじめ、長野県は全般的に私の住む愛知より冬は寒くなると思いますから、あたたかさ重視で選ぶのも良いかもしれません。

その他、前回好評だった12homemadeの眼鏡など、たくさんのサンプルを汕へ送り込んであります。「当日行くとオボイストにオーダーを強要されそうで怖い」という方は、まったくそんなことはないのですが笑、安全なオボイスト不在日を狙って汕へ行ってみてください。ケンジとナオトが、優しく紹介してくれると思います。ご予約も絶賛受付中です。25日は気合を入れて向かいますので、長野近郊にお住まいの皆様にお会いできることを心より楽しみにしております。


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