トランクショー二日目も朝から予約が入っていました。初日は靴が7足とスーツが6着と、かなり忙しい一日でしたので、二日目はご予約の2時間ほど前にTTBO入りし、生地の発注やaldexへオーダーシートの送付、それから店内の整理整頓と掃除をしました。

そうしているうちに小紺さんが現場入りし、程なくしてお客様がご来店されました。お一人目のT様はチャッカブーツをご所望のお客様で、しっかりとした分厚い足と強い脚力をお持ちの方でした。Sewn shoe-makerでオーダーしてくれたオボイストローファーを履いてきてくれました。早速、小紺さんにフィッティングを見ていただきます。

ショルダーの黒を使用した、ストームウェルト付きビブラムソールの410をご試着いただくと、足をしっかりとホールドしてくれる安心感に感動されるT様。試着をしたまま、小紺さんから直接KO-1ラストの特性やKOKONの靴について熱弁をふるってもらいます。革靴はまだ好きになったばかりのT様は、目をキラキラさせて小紺さんのお話を聞かれていました。せっかくなので、ブーツだけでなく短靴も履いていただこうと、今度は422のブラウンを試着していただきます。ブーツと比べてハーフサイズ下げてのご案内でしたので小紺さんに質問してみると「410はブーツで特に足入れが悪いですが、入った後にクッと固定されますから、ハーフサイズアップで履いてもらっても大丈夫なんです。短靴の場合はそうはいかないから、ジャストサイズで」と解説してくれました。単に足のサイズだけでなく、モデル毎の履き心地の“具合”や、お客様の特徴を的確にとらえて、提案してくれる。これが多くのファンがKOKONに魅了される理由だろうなと思います。

T様の試着中に、次のご予約のS様がご来店されました。こちらの方は既にKOKONを3足履きまわしていて、前回のトランクショーではファニー社のコインケースを買ってくれました。今回は事前にリクエストをいただいた、サイドゴアブーツの415をお目当てにご来店。実物を確認されて目的通り購入は決定となったのですが、これで終わらないのがKOKON×TTBOの恐ろしさです。小紺さんは415とは別にもう一足、サイズの合うダブルモンク425も持ってきていました。

「元々オボイストさんのLiverpoolを見てから、KOKONのダブルモンクずっと欲しかったんです」と嬉しそうにご試着されると、見てくださいこの美しさ。ジョーワークスが手でしっかりと釣り込んで丁寧に作られるKOKONのファクトリーライン。小紺さん拘りのバックルも、個性的でカッコいいですよね。

結局、T様もS様も予定にない提案にしばらく悩んだ末、2足とも持ち帰る決断をされました。普段であれば1足分くらいの金額になっていましたから、これは間違いなく英断です。T様に関しては1995年生まれで、同級生のKOKONに運命を感じてしまったようです。お二人とも良い靴との出会いがあって良かったですね♪ どれもガンガン履ける靴ばかりですから、今後エイジング具合を拝見出来るのを楽しみにしております。

一方、前回トランクショー時に唯一の2足買いをかましてくれていた、親友汗だくさんも仕事の折り合いをつけて小紺さんに会いに来てくれました。KOKONという靴の開発思想にもすっかり魅了されている彼は、前回購入いただいたうちの1足、422のコンビを履いていました。岩田さんもそうでしたが、ラングラーのジーンズにKOKONを合わせる小紺流に則って、汗だくさんのコーディネートはリゾルトでした。

10.5まで展開がある靴屋さんって、どのくらいあるのでしょう。足の大きな汗だくさんでもKOKONがあれば安心です。10分仕立てKINGSTONのブラックと、シュールズベリーの銀付きスウェードのポロブラウンをご試着いただきました。彼も最近のっぴきならない事情(良いことです)があるのを知っていたので、今回は購入はされませんでしたが、小紺さんも会いたがっていたので来店してもらえてよかったです。

次の予約まで少し時間があったので、散歩がてら小籠包の美味しい中華料理店へ行ってきました。今年の9月で30周年を迎えるKOKONのパーティーについてもお伺いし、すぐにカレンダーへ予定を入力しました。30年って、すごいことですよ。一つのモデルやラストの開発に数年かかることも珍しくないというKOKONでは、今も新しいモデルの開発を行っているとのことです。内容も伺いましたが、小紺さんらしいアイデアの詰まった靴になりそうです。そういう努力を積み重ねていたら、案外ご本人にとってはあっという間なのかもしれません。私の店は、30年後も存在しているだろうか。そのとき今の小紺さんと同じ64歳になっている私の周りには、どんな世界が待っているのか。全く想像もつきません。今は目の前のことにひたすら打ち込んで、ひとつひとつの仕事に邁進するだけです。(会社員としての本業も同様です)

午後になり、ご常連W様がご来店されました。「見学だけになるかもしれません」と予約時に伺っていましたが、それもそのはず、この日WさんはTTBOトランクショーでオーダーしてくれたKhish the Workのイノシシ革のウィングチップを履き下ろすためにご持参いただき、さらには2着目となるTTBOSUITの3ピースを受け取りに来られたのです。

Khishの靴も「まだ一度も足入れしていない、写真を撮ってほしい」とのことでしたので、リクエストにお応えして何枚か撮影さえていただきました。

小紺さんも興味深そうに靴を見ておられました。初日に来店されたお客様のサンクリスピンを見て感心していたり、いつまでも勉強熱心な姿勢には頭が下がります。仕立てあがったばかりのツイードスーツとの相性も抜群。

これだけでも普通ならお腹いっぱいですが、KOKONの決算トランクショーは追撃の手を緩めてはくれません。W様には3足ほど足に合う在庫をご提案させていただきました。最初にお試しいただいたのは銀付きスウェードを使ったハンドメイドラインのレイジーマンWalesです。勉強不足で知らなかったのですが、When別注でも使用したWalesという名前がKOKONのモデルにも使われていることに、今回のトランクショー中に気が付きました笑

しっとりとした美しいスウェードとWさん好みのデザインが、ハマり過ぎているほどハマってます。他に2足、高野さん作のKO-11開発試作モデルや、小林さん作のアデレードブローグと、全てこげ茶の美しい靴ばかり・・・贅沢な悩みです。土踏まず部の持ち上がり方を筆頭に私の個人的な推しは小林さんの1足だったのですが、最終的にWさんが選ばれたのはWalesでした。確かに、最もご本人に馴染んでいて見ていても安心感のある1足でした。「最近は装いの中に柔らかい雰囲気を作りたいという思いがあって」というWさんのお言葉にもぴったりです、おめでとうございます!Wさんには最後、コワテブも一緒にお買い上げをいただきました。

お選びいただいたwalesは常世田さん作。
そして最後に来店されたのは、元々今回のトランクショーには都合がつかず先に小紺さんのオススメを送ってもらった中から、406のブラウンを購入いただいていたT様です。TさんもすっかりTTBOのご常連になっていて、この日はオーダーいただいていた時在のデニビッドと、ハリソンのソックスもお渡しの約束をしていました。8.5の在庫は元々送ってもらっていたラインナップしかご用意が無く、小紺さんの解説付きで改めてご試着をいただきました。特に、9分半仕立てのモカ縫いのスリッポンは秀逸で、店頭においてあった店主私物のジーンズをTさんに穿いてもらって靴を履くと、異様な格好良さです。エラスティック部はブラウンの革があしらわれていて、ショルダーかな?と思っていましたが、小紺さんに聞いたらなんとオーストリッチでした!

ジーンズにこのスリッポン、そして小紺さん私物の小松さんのバッグを持ってもらったら、大人の休日スタイルが完成です。私のせいでスーツスタイルの沼に落ちたばかりのTさんは、(いい意味で?)完全に頭がおかしくなってしまっていて、色々と買い物が止まらない状況なので、今回のトランクショーでは靴の購入は見送りとなりました。しかし何か小紺さんから買わずにはいられないといった様子で、コワテブをお持ち帰りいただきました。いつもありがとうございます!

ということで、長くなりましたが予定していた全てのスケジュールがこれで完了です。二日間ずっと一緒だった小紺さんと二人で片付けを始めると、なんだか寂しくなってきてしまいます。元々ご予約いただいていたところに事情があって来れなくなってしまった方の分や、トランクショー当日は来れないけど後日行くからオススメを置いておいてほしい!という方向けの在庫分をTTBOでお預かりし、小紺さんが持ち帰る靴を紐で括っていきます。前回もそうでしたが、大きな段ボール4つに分けて大量に送ってもらったはずの在庫が、持ち帰るときには車のトランクにちょうど収まるくらいの量になっていました。

荷物の搬出も終わって、ここで小紺さんともお別れです。「2日間、働きましたねえ~」とお互いに両手で握手を交わします。小紺さんの手は人柄そのもので、温かく、やわらかい。「本当に、オボさんのおかげ様です。オボさんのことも大好きですし、今日いらっしゃった皆さんのことも大好きです。お互いに身体に気を付けて、頑張りましょうね」と約束をしました。小紺さんは「これ、良かったら使って。豚毛もあった方が良いでしょう?」とコワテブの黒豚毛をプレゼントしてくれました。お客様だけでなく、私の店を使ってトランクショーをしてくれた方にもこれほど感謝されるなんて、繰り返しになりますが、TTBOとはなんて良い仕事なのでしょう!

最近は忙しくて、私が心の底から「書かずにはいられない!」と思った時くらいにしかブログを書くことが出来ませんが、今回の第二回KOKONトランクショーは、まさにそういう類の経験でした。KOKONの30周年と比べたら足元にも及びませんが、私も5月の一周年に向けて、自分に出来る最大限のパフォーマンスを発揮し続けたいと思います。いつも私を支えてくれる関係者の皆様、お客様、家族、妻には、この場を借りて改めて感謝申し上げます。私が頑張れるのはまさに周囲のみんなの“おかげさま”です。これからもよろしくお願い申し上げます。

そして小紺さん、二日間本当にお疲れさまでした。無事に金沢へ到着されたとのこと、安心しました。30周年記念パーティ、楽しみにしています。今後とも仲良く、支え合っていけたら嬉しいです。いつも本当にありがとうございます。

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