ボレロたらしめる所以

Shoes

さて、しばらくの間アトリエでご覧いただけるようにとずっと預けてあったボレロ4足目となるビスポークシューズ、ようやく受け取ってきました。改めてしっかりご紹介していきます。過去作ってもらってきたどのボレロよりも普遍的なデザインでありながら、一目でボレロの靴であることが分かる素晴らしい一足になりました。

ステッド社のdoeskinを採用した5アイレットダービー。ほんのりグレージュっぽくも映る柔らかい印象を与えるこの靴、モチモチと柔らかなアッパーはずっと触れていたくなります。

朴訥としていながら凛と美しい姿。あえてステッチは色を入れずに生成りのままにしてもらっています。羽根の開きはちょうど平行になるように。ラストを大幅に修正してもらったとのことで、これまでのどのボレロよりもフィット感が良いです。食いつくところは食いついて、決して窮屈でないところ。

ボレロをボレロたらしめているものって、一体なんなのでしょうね。私のものに限らず、誰のボレロを見ても「あ、ボレロの靴だ」って認識することが出来る。超絶技巧とか、どのビスポークシューメーカーよりも美しいとか、そういうことじゃなくて・・・渡邊さんの侘び寂びが滲み出てた味わい深い靴。

4足目にしてこのオーダー。なんていうか、私もちょっと大人になったかなって、そんな気がしています。分かりにくくて、とても良い。分からないのが魅力というか。

歴代のボレロと並べてみました、いかがでしょうか。トゥの形状も少しずつ違いますよね。その時々の好みが反映されています。ジョッパーブーツもWedding Oxfordもピングレインレイジーマンも、人生の節目節目で活躍してきた靴ばかり、自らのエネルギーの変遷を感じます。ボレロの過去ブログなどを読み返しても、意外なほど5アイレットダービーって作られていないのですよね。今後オーダーされるつもりの方には是非おすすめしたいデザインです。

スーツに、デニムに、コーデュロイパンツに・・・いろんな組み合わせを受けて止めてくれる予感。これからお世話になります。

コメント

  1. gohkiti より:

    こんにちは!お久しぶりです。
    4作目のボレロ、素敵ですねぇ。ボレロのボレロたる所以、オボイストさんの考察を読んですっと腑に落ちました。
    美しい造形の靴は多々ありますが、滲み出る侘び寂び、自分もそこに強く惹かれたんだな、と。
    見ていると自分も3足目が欲しくなってしまいます。靴納めしたはずなんですけどね(苦笑)。
    まだまだ暑い日が続いておりますが、季節はすっかり秋の気配。新たなボレロと秋冬物の合わせなど、益々楽しみが広がりますね♪

    • oboist より:

      gohkitiさん、ご無沙汰です(^^) あえてブログでのコメントというのがとても嬉しいです、ありがとうございます♪

      渡邊さんという人間が作った、ということを強く感じる靴ですよね! もちろん他の職人さんの靴だってそれぞれの人間性が滲み出ているはずなのですが、私は縁あって知り合った渡邊さんが、たくさんの思いやりと静かな情熱を傾けて紡いでくれたボレロの靴だからこそ意味があると感じています。

      時計についてマークチョーさんの「生きていれば人も時代も変わるのだから、コレクションが変化していくのも自然なこと」といった旨のトークを聞いてから、アガリなんて無理やり決めつける必要はないなって思い直しました(超言い訳)。買い漁る必要はないけど、縁があれば巡るものだと思いますし、gohkitiさん3足目のボレロも生きてさえいればきっと機会があるはずです♪

      新しい靴を手に入れたら次の季節に意識が向くのって、改めてとてもいいですね(^^) 最近忙しさにやられて視野が狭くなっていましたが、本来のビスポークの楽しみを今回思い出すことが出来ました。前を向くためにも、これからも色々仕込んでいかなきゃ!(超超言い訳)

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