RX1RM2→GFX100RF

Diary

長年連れ添ってきたSONYのRX1RM2を買い替えることにしました。先代のRX1Rから数えると実に7年間もの間、RX1シリーズのカメラしか触って来ませんでしたし、いくつかのデメリットを感じながらも全体としては大満足のカメラで、毎日のセルフポートレートだけでなく旅行に出張に連れ出しては、本当にたくさんシャッターを切ってきた相棒です。

コンデジでありながらもフルサイズセンサーを搭載したRX1RM2は、カメラ好き界隈からも一目を置かれるカメラであり、今なお中古市場では30万前後で取引されている名機です。フルサイズのコンデジという部類ではライカのQシリーズと比べられる機会の多い同機ですが、そのコンパクトさは群を抜いています。私は何を選ぶにも天邪鬼気質な面倒くさいところがあり、メジャー過ぎると興醒めしてしまうのですが、それでいて“王道派の人から見ても納得される実力を兼ね備えていること”を同時に求めるため、結構難しい。オケではクラリネットよりオーボエを選び、北斗の拳ならケンシロウやラオウよりジュウザが好きで、クラウンはセダンよりもクロスオーバー、最近ボクシングではアマチュア世界選手権金メダルを取ってプロ転向した坪井智也に首ったけ。小さな巨人と呼ばれる(私が呼んだだけ?)RX1にたどり着いたのも必然といえるでしょう。

話が逸れましたが、RX1以上に惹かれるカメラが発売されることはなく、SONYから後継機が出るのをひたすら待っていたのですが、いつまで経っても出る気配すらありません。そのうちに私は自分の店をスタートさせたのですが、そうなってくるとカメラの重要性というのを改めて認識するようになりました。今の時代、写真を蔑ろにしてモノの良さを訴求するというのは至難の業なのではないでしょうか。実際に店へ足を運んでくれるお客様には実物を見せれば良いですが、まだ来たことのない方を“行ってみよう”という気持ちにさせるには、SNSが無くては成り立ちません。そういう意味では、2016年に発売されてから既に9年以上が経過しているRX1RM2は色々と足りなく思える場面が増えてきたことも事実でした。

コンデジの呪縛に囚われた私を救ってくれる唯一の選択肢が、この度フジフィルムから発表されました。GFX100RF、フルサイズセンサーの約1.7倍の中判センサーを搭載した、この分野のパイオニアになるであろうカメラです。キャッチフレーズは“The One and Only”。すっかりページの更新が途絶えていますが、私の好きな言葉です。中判センサー搭載とは思えぬほどコンパクトにまとまった筐体からは、開発者の方々の“とにかく小さく”という熱意を感じます。目的の為に犠牲となった手振れ補正やOVFが非搭載である点はカメラファンの中でも賛否両論あるようですが、元々RX1RM2には両方ともついていませんから私にとっては全く気にならないポイントです。

待っている間、GFX100RFに関して国内外のありとあらゆる紹介記事やレビュー動画を見ました。使用用途によって評価が大きく割れるこのカメラですが、蓋を開けてみれば発売日当日に間に合うよう出荷されたのはかなり少ない台数のようですね。私は家から一番近いカメラのキタムラで予約しましたが、問題なく初日に手に入れることが出来ました。

第一印象としては、サイズは事前にシミュレーションしていた通りの感じでした。RX1RM2には鳥井工房でオーダーしたエバレディケースを装着しており、裸の状態で使っていたわけではありませんので問題のない範囲のサイズアップです。アルミ削り出しの高級感あるボディが売りとされていますが、RX1シリーズがとても質感高く気に入っていたこともあり、甲乙つけがたく、同等レベルではないでしょうか。

並べて写真を撮ってみると、改めてRX1RM2の小ささは圧倒的ですね。ただし、ボディの厚み自体はそれほど差はなく、レンズについてはGFX100RFの方が小さいです。コンパクトさを優先してF4を選択したフジフィルムの作戦が功を奏しています。薄いというのは私にとっては大きなメリットです、収納できるバッグの選択肢が広がります。

長年同じモデルを使い続けていた私が、メーカーごとカメラを変えたことで、最初は少し使い方で戸惑いもありましたがすぐに慣れることが出来ました。GFX100RFの目玉機能のひとつに、アスペクト比切替ダイヤルというものがあります。これはレビューなどでも書かれている通り、このカメラの標準アスペクト比である4:3で撮っておいて、あとから変更すれば良いという意見も多いですし、私もここについては使うかな?と重要視しておりませんでした。しかし、実際に試し撮りで出かけてみると、ちょうど“私程度の”腕のユーザーにはすごく楽しい機能だと感じました。プロカメラマンやハイアマチュアの方々は、そもそも何をどう撮りたくて、そのためにはどのレンズを使ってどんな構図にするのかというのが頭の中に自然と浮かんでくるものなのかもしれませんが、私にはそんな腕はありません。せいぜいSNSに投稿する際に、ストーリーなのかフィード投稿なのかで写真をトリミングするくらいで、それは私が“元々意図して”撮った構図ではないのです。

しかしGFX100RFでは、シャッターを切る前に、ダイヤルを回して私が撮りたい構図を探すことが出来ます。映っている外の世界まで続いていきそうな65:24は特にお気に入りで、試し撮りしてみた桜並木の写真が気に入っています。出来上がってから考えるのではなく、撮る前に悩むことが出来る点は、今まで自分になかった感覚を補完するためにも、今の自分のレベルに見合っているのかワクワクするような新鮮さを感じています。

フジフィルムのお家芸であるフィルムシミュレーションについても、自分にとって使いやすい背面のファンクションボタンに割り当てして、その素晴らしさを実感しています。これもアス比ダイヤルと同じ理論になりますが、撮ってから編集するのではなく、どんな写真を撮りたいのか考えて、それに合うフィルムシミュレーションを見つけていく作業が今は楽しいです。おそらくしばらく使い込んでいくと、大体常用するフィルムシミュレーションが決まっていくと思います。フジのカメラが良いなと思うきっかけになったkino先輩に教えてもらったのですが、お気に入りのフィルムシミュレーションを登録しておいて複数種同時に撮影するような使い方も出来るそうです。いずれにせよ、今の時点で私の使い方であれば、このカメラならほぼすべての写真を撮って出しで使うことが出来るのではないかと思っています。

それから、これだけはRX1と比べて間違いなく圧倒的に優れている部分ですが、バッテリー持ちが良いです。小さいカメラ用の小さいバッテリーでしたから仕方がありませんが、RX1のときは最低でも3つはバッテリーを持って出かけて、さらにちまちま充電して使わないといつ切れるか分からないという煩わしさがありました。まだ一日持って出かけたわけではありませんので使ってみての感想ではありませんが、メーカーが公称している撮影可能枚数などを見る限り、私の使い方であればバッテリーについてはほとんど気にかけることなく撮影に没頭できるような気がしています。

カメラに詳しい色んな人が書いてくれていますからこのブログでわざわざ言及するまでもないかもしれませんが、付属品が充実している点も私にとってはありがたいことでした。アルミ削り出しのフードやそれを取り付けるためのアダプターだけでも嬉しいのに、保護フィルターやロープストラップまで標準なので、あとから買うものがほとんどありません。SDカードは512GBのものを新しく追加しましたが、それくらいかな? USB TYPEC ケーブルは付いてきますが、AC電源は付属しません。今どき大体の方が一つ以上は持っているでしょうから、特に困りません。しばらくは開発陣の意図したところを少しでも感じられるように、純正スタイルで使って行こうと思います。ぁ、RX1に付けていたNikonのレリーズボタンだけはそのまま使っています。鳥井工房のレザーストラップもいずれ使うと思いますが、とりあえずロープで。

まだ手に入れたばかりで、GFX100RFとはこれから仲良くなっていくところですから大したことは書けませんが、現時点での満足度は非常に高いですし、私の撮影スタイル(というほどスタイルはないけど)自体がこれから変わっていくだろうということを感じています。THE TRUNK BY OBOISTで展開している商品についても、その魅力を写真越しでももっと伝えられるようになりたいです。新しい相棒とともに、まだ私自身が気が付いていない、私の目に映る世界の魅力を探していきたいと思います。

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