THE TRUNK BY OBOIST 東京トランクショーを終えて

THE TRUNK BY OBOIST

ブログ読者の皆様、ご無沙汰しております。最近はめっきりブログが書けなくなってしまいました。本業とTTBOの両立で手一杯ということももちろんあるのですが、ブログというのは私にとって「誰かに伝えたいことを伝える場」として活用していたのが、最近はTTBOというリアルな場でお客様に直接お伝え出来るようになったことも執筆が滞る理由のひとつだと最近気が付きました。それでも、9月15日に開催したTTBO初となる店外トランクショーについてはどうしてもブログで触れておきたかったため、こうして久々に執筆意欲の昂るままに書きなぐっています。

2025年5月1日にTHE TRUNK BY OBOISTがオープンしてから、早いもので1年4か月が経過しました。オープン初期は既に繋がりのあったブログ読者様や各種SNSのフォロワー様が中心でしたが、だんだんとお客様からのご紹介で出会う新しいお客様や、むしろこのブログやオボイスト個人を知らない状態でTTBOという店を先に発見してくれたお客様が増えてきました。

「最初の1年は意地でも外でイベントをやらない」と決めていました。TTBOで一度でもお買い物をしていただいたことのあるお客様が現在100名ちょっとですが、そのうちの実に約45%のお客様が愛知県外にお住まいです。東京大阪のような大都市をはじめ、北陸や四国など全国津々浦々から愛知県安城市三河安城駅前にある田舎の店まで、足を伸ばしていただいております。私としても“わざわざ”来る価値のある店にするつもりで事業をスタートさせましたので、自分で企画したイベントやアイテムと皆様の高い熱量を信じて、1年間は多少無理していただいてでも来てもらおうと。

そして1年が経過し、おかげ様で相変わらず忙しくさせていただいておりますが「なんとかしてTTBO店頭へ行ってやろう!」という熱い気持ちを持ってくれたお客様は大抵来店してくれた実感があります。ですので次は「TTBOちょっと気になるけど、愛知は遠いな」というお客様を、こちらからお迎えにあがるフェーズに入っていこうと企画したのが、先日Whenのアトリエをお借りして開催した東京トランクショーでした。最初の店外トランクショーの開催地を東京としたのは、Instagramで実施したアンケートで最もご要望の多い地が東京だったからです。ちょうどWhenの小林さんが前よりも広いアトリエへお引越しされて「イベント会場として使えそうだったら、いつでも使ってください」と声をかけてくれたこともあり、とんとん拍子に話が進んで開催にこぎつけることが出来ました。

私は相変わらず一般企業で働く営業マン。立場的にも休んでばかりはいられないので、今回は無理して日帰りでトランクショーを敢行。6時過ぎの電車に乗り9時前にはWhenのある秋葉原に到着しました。「TTBO応援隊として、荷物持ちと設営準備手伝いに行きます!」と申し出ていただいたお客様と、小林さんが駅まで迎えにきてくれました。3人でちゃちゃっとモーニング蕎麦を食べてから、会場であるWhenへと向かいました。

当日必要な設備(ハンガーラック等)は元々レンタルする予定だったのですが、見積もりを取ったら無茶苦茶高くて。小林さんに「普段使ってもらっていいから、邪魔じゃなかったらこちらで購入して送っても良いか」と確認をしたところ快諾いただき、When専用のハンガーラックを購入。送ってあった荷物の開封と同時に当日朝に組み立てるつもりだったのですが、なんと小林さんが全部やってくれていました。開店に間に合うか心配でしたが、これは本当に助かりました。小林さんに心からお礼を伝えると「何をこのくらい、いつもやっていただいてますから!」と爽やかに応えてくれました。TTBOでトランクショーをする際も同じように職人さんから事前に荷物が届くのですが、許可をいただいた場合にはひとりで開封しながらイベントの準備をする時間が好きなのです。なんだかわくわくして、箱に入っているサンプルなどを一つずつ取り出していくと「明日来るこのお客様、これ好きそうだな」などとイベントのイメトレが出来ます。こうしたTTBOとして当たり前になっていた行動の一つ一つが、自然と小林さんとの信頼関係に繋がっていたことが、私にはとても嬉しく感じられました。

そうこうしているうちに、この日一緒にイベントを盛り上げてくれる仲間が集結しはじめました。RYO IKEDAのビスポークシャツ職人・池田さんと、aldexの小島さんです。TTBO店頭イベントではすっかりaldex工場次長の岩田さんがレギュラーメンバーとなっていますが、もともと私とaldexの出会いは小島さんからであり、TTBOSUITの設計も基本的には小島さんが担当してくれています(TTBOCOATは小島さんと岩田さんの合作)。TTBOのオープン少し前に小島さんは東京へ異動してしまったので、一緒にイベントをするのは実にオープン以来となります。小島さんと池田さんは業界内で既に顔見知りで、小林さんと二人も同年代ということもありすぐに打ち解けた様子でした。「ハンガーラックはどの位置が良いだろうか」「ソファはこっちのほうがいいのでは?」などと話し合いながら、セッティングを手伝ってもらって準備完了。いよいよ、トランクショーのスタートです。

ここからはもう、怒涛の一日でした。イベント告知から24時間で埋まってしまった予約枠(その後2枠増やしましたがこちらも満了)、いつものイベントなら90分なのですが今回は時間の都合上60分でご用意しておりました。予約者のお名前を拝見するに、皆様初めましてのお客様ばかりで期待と不安でドキドキしていたのですが、お会いするとなるほど確かに“TTBOらしい”お客様ばかりだったのです。これまた自店自慢ですが、TTBOの大きな特徴のひとつに「お客様が良い人ばかり」ということが挙げられます。こればかりは本当に何故なのか分かりませんが、トランクショーに来てくれる色んな職人さんからも「良いお客様ばかりですね」といつも褒めていただきます。服や靴がとことん好きな方が多いのはもちろんですが「それらのモノを作るのはいつも人である」ということを理解し、作り手への思いやりに満ちた方の多いこと。職人側としても「あのお客様のために頑張って良いものを作ろう」と良い気持ちで製作にあたってくれますし、良いことづくしです。

皆様きっちり時間通りにご来店していただいて、運営側としても昨日は本当に助かりました。最終枠のリピーター様以外は初めて会う方ばかりでしたが「ブログを10年近く拝読しており数多くの影響を受けてまいりましたので、実際にお目にかかることが出来て大変感激いたしました」「1年ほど前からコンストラクティブなスーツはTTBOでと決めていたので、念願が叶いました」「以前からブログを読んでいたのでお会いできて光栄でした」など、皆様から身に余るお言葉をたくさん頂戴しました。冒頭に記した通り、最近はリアルな場で直接私の思いを伝えることが出来るようになり更新頻度が落ちていましたが、改めて「13年間こつこつブログを書いてきたおかげで、皆様との素敵な出会いがあった」と感じることが出来、東京トランクショーのことは必ずブログに書こうと胸の内で誓いました。

小島さんの採寸は岩田さんとは同じところも、違うところもあり、見ていてとても勉強になりました。オーダーシートの入力は私が担当なのですが、イベントが進むにつれて「次、小島さんここ来そうだな」というのが段々と分かってきて、阿吽の呼吸で次々とフィッティングを取っていきます。当日になるまで、ご来場の皆様がどのアイテムを見たいのか分からなかったのですが、やはり代表作であるTTBOSUITを目的に来てくださる方がとても多かったです。バンチはほとんど持参していましたが、当然60分では一枚一枚めくりながらご紹介することなど出来ませんので、ご要望などをお伺いしたうえでこちらから2,3種をご提案するスタイルで。取り扱いする種類もオープン時からするとかなり増えて来ましたが、私も毎日いろんな英国生地を見ているうちに、多少は提案力が付いてきたと自負しています。相変わらずTTBOは英国生地オンリーですし、他店と比べれば選べるバンチも少ない(のかな?)ですが、せめて自分で取り扱いを決めた生地については常にしっかりご説明できる状態でありたいなと考えています。

トランクショーをしてみて良かったなと思ったことがもう一つあり、これまで作ってきたアイテムを“並列的に”ご覧いただけるのはTTBO店頭ではなくトランクショーならではだと感じました。私は常にこの先に登場するアイテムの打ち合わせをしながら、新しく出来た商品を紹介しています。シーズンものという概念がないTTBOであっても、今以前に作ったアイテムの情報はどうしても埋もれていきがちです。その点は少し前から改善方法を探ってはいるのですが、その一つの解を得たような気がしています。初めての地で、初めてTTBOの商品をご覧いただくお客様にとって、目の前に広がるアイテムはどれも平等に扱われます。どの商品も強い思い入れを持って企画したものばかりなので、しっかり改めてご紹介できることが私にとってはとても嬉しい出来事でした。

TTBOSUIT以外にも、WhenのMTOシューズをオーダーしてくれたお客様も、RYO IKEDAでビスポークシャツをオーダーしてくれたもいらっしゃいました。TTBOSUITをオーダーいただいた方で持参したTTBO Essential clutchをご検討いただいているお客様もいらっしゃいますし、その場ではオーダーに至りませんでしたがご帰宅後にご連絡いただき後日改めて池田さんのシャツオーダーについての日程が決まったお客様もいます。小島さん・池田さん・小林さん・私の4人のTTBO TEAM TOKYO共々、感謝申し上げます。

今回はすぐに埋まってしまった予約枠ですが、東京では定期的にイベントをさせていただきたいなと思っております(When専用ハンガーラックも買ったことだし)。昨日ご来店の方の中には「origineの隠田さんは今日はいないんですか?」など、ほかの職人とも会ってみたいという声をいただきましたので、TTBO店頭と同じように東京でも内容を色々と考えながら実施していきたいなと。東京以外に、来月は北海道のBrift H SAPPORO、1月は名古屋市内でのイベントが確定しています。2026年はまた別の地区での開催を考えていきたいと思っておりますので、もし「TTBOに来てほしい!」という読者の方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントやDM等でお知らせいただければと思います。これからも【CRAFTSMANSHIP AND HUMANITY】を合言葉に、お客様と職人の架け橋となれるようなお店作りを心がけていきますので、応援よろしくお願い申し上げます。

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