SusieSvelt Full Order Bag 2

こちらのエントリーでは、スージースベルトさんにオーダーしたビスポークバッグの細かい仕様についてご紹介していきます。

まず、バッグ本体に使う革について。私が見積もりをお願いしていたのは以下の三つです。( )内はカラー名。

⑴シュランケンカーフ(トープ)
⑵ヴォーエプソン(エタン)
⑶トリヨンクレマンス(エタン)
⑷キャビアスキン

⑴のシュランケンカーフについては革好きの皆様にはおなじみ、ペリンガー社の型押しカーフ。Fugeeやオルタスを始め、ルボナーなどでももちろん取扱いのある私も大好きな革の一つです。

シュランケンカーフのトープについては、スージースベルトのアトリエ在庫としての対応が可能ということで、上記の中では最もお値打ちな素材です。最初探し始めた時にはサックアデペッシュのトゴのトープを見ていたこともあり好印象でした。ただ、私の理想のイメージと比べると少々柔軟すぎる素材のような気はしていました。

続いて、⑵のヴォーエプソンのエタン。これは前回訪問時アトリエに少し残っていた革で、バッグを作るには足りないから取り寄せ対応。エプソンはエルメスを代表する型押し革の一つで、革・エルメス好きの方ならご存知かと思います。型押しの班の小ささや適度なハリ感・硬さなど、ほぼ私の理想通りの素材。極上の部分をエルメスが裁った後の余りをタイミングによって入荷することが出来るそうで、アトリエにあったエタンも悪くない色でしたので、見積もりをお願いしていました。

(スージスベルトアトリエ在庫のヴォーエプソン・エタン)

ただこのエタンという色、(先方にはお伝えしていなかったのですが)実はブリーフケース探しを始めた頃、エルメス・サックアデペッシュのトゴ・エタンの個体で非常に状態が良いものを見つけたのですが、私はトープを理想としていましたのでそれと比べるとほんの少し(多分言われないと分からないくらいの差)グレーが強過ぎてパスしたという経緯がありました。

(一時期検討していたサックアデペッシュのトゴ・エタン)

トープという色は魔法のような色で、靴やベルトがどんな色でも受け止めてくれます。茶とグレーとのバランスが絶妙。

(写真上:素材が違うので厳密に言うと色は変わってくるでしょうが、ワインハイムレダー社ワープロラックスのトープ)

そんなヴォーエプソンですが、実はエタンの取り寄せは困難とのことで、代替案として提示いただいたのが、

「ヴォーエプソン・トープなら3/4サイズのものが一点在庫があるそうです」

まさに私にしてみれば願ったり叶ったりです。ここで完全に縁を感じてしまいました。

⑶のトリヨンクレマンスに関してはもともと重量があるイメージなのとシュランケンカーフ以上に柔らかい素材の為、ヴォーエプソンに軍配が上がりました。それに入手についても可能性低めとの回答でした。

⑷のキャビアスキンは現在ボレロの渡邊さんにも探してもらっている素材で、今回スージースベルトにはトープやエタンのような色を探してもらいましたが、入手困難とのことです。この革はジョンロブが最近のコレクションにも使っていた革で、おそらく私のアラルディのウォレットにも採用されている革。調べてもらうまで私は知りませんでしたが、タンナーはHaasのようです。

アースと読みますこのタンナー、以前クレマチス銀座を訪れた際に職人の高野さんに在庫のカーフを見せていただきましたが、かなり上質な素材だったのを覚えています。シロさんのセルジュアモルソのビスポークバッグもアースの革が使われているそうです。

エルメスはあまりタンナーについては明らかにしないようですが、⑵のヴォーエプソンもアースの革ですね。キャビアスキンにつきましては他の色なら入手が可能だそうで、おそらく近い将来鞄としてではなく靴になって私のコレクションに加わることになるでしょう。

ということで、長くなりましたが本体についてはヴォーエプソンのトープに決定。

形はラウンドボトム型のブリーフケース、持ち手はスライド式。特徴的なのはラウンドボトムには珍しい二室タイプにすること。

こちらの写真はスージースベルトのオーダー(ミシンステッチ)の一例ですが、鈴木さんもこのバッグの型紙製作には苦心したそうで、独自の解釈によってうまく構成されたバッグだと思います。このバッグを参考に、私のものも二室に。

それから、エルメスの最新のサックアデペッシュのように、背面にオープンポケットを付けようかと検討していましたが、鈴木さんから「長年の使用により型崩れの原因となる可能性がある」とご指摘をいただき、背面ポケットは排除しました。

バッグの顔となる錠前ですが、スージースベルトではオリジナルの錠前などはありませんので、イタリアから気に入ったものを輸入することとしました。鈴木さん一押しの真鍮時計型錠前で素晴らしいものがありましたので、これを採用。

(写真はカウントレスリバーさんのホームページよりお借り致しました。http://www.countless-river.com)

内張りはピッグスエードorアルカンターラで検討していましたが、ピッグスエードは在庫としては希望カラーが無いこと、アルカンターラはピッグスエード以上に高価なこともあって悩んでおりました。

訪問時に相談したところ、別の選択肢として提案してもらえたのが「在庫のラムナッパスキンを使う」というもの。見せていただいたモカブラウンの上質なラムナッパは希望通りの色でしたし、内張りに使うには勿体無いほどでしたが、在庫素材ということで取り寄せのピッグスエードやアルカンターラと比べて安くしてもらえました。対面ならではのご提案・交渉で、まさにこういうところがビスポークならでは。

肝心な作りにつきましても、内装の一部については手縫いではなくミシン縫いにすることで少し予算は抑えることが出来たのですが、あとで心残りになることのないよう、ここは完全な総手縫い仕上げでお願いを致しました。

その他細かいポイントでは、部屋の仕切り部分にマチなしポケットを一つと、ペンホルダーを二本分。全く見えない部分ですが、芯地も合成芯ではなく本革芯としました。

ステッチは「せっかくですので良いのを取り寄せましょう」ということでクラウフォード社の手縫い専用アイリッシュリネン糸をグリーンで。

「トープ系の色にグリーンのステッチ」という洒落た配色も、私自身ではとても思い浮かぶものではありません。バッグ探しをしている最中に見つけたFugeeさんのバッグを参考にさせていただきました。

(こちらの写真はFugeeさんのfacebookページよりお借りいたしました。)

一つ私のオリジナルの作りとしては、キークロシュについて。そもそもこの時計型錠前ではキーは必要ではありませんが、キークロシュ自体が私は好きなので、付けてもらうことにしました。そしてその中には、妻と付き合っていた時にいつも身につけていたプラチナのペアリングを忍ばせるつもりです。こちらはCelineのリングで、結婚してからは良き居場所を見つけられずに一時避難的に財布に入れて持ち歩いていましたが、ようやく落ち着きそうです。

錠前のロックナンバーももちろん私たちにゆかりのあるナンバーにしたいです。

製作が始まってからは一発本番ではなしに、ペーパーモックを作っていただくこととしました。これも多少お金はかかりますが、全体のバランスを確認するには欠かせない行程だと感じましたので。

と、いうことで、いよいよオーダーした理想のブリーフケース。「一切妥協せず全力でお作りします。」と約束してくれた鈴木さんの渾身の作品完成まで、こちらで少しずつ紹介していきたいと思います。

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