本物のOboist山本直人先生、オボトラを買う。

今日は大物ゲストをパストラルとマルヤスへご案内するお約束が。お客様より少し早く、まずはパストラルへ。ディスプレイはすっかり秋冬仕様に。最近ミユキソーイング小樽が担当するコートのオーダーも始まったそうです。

お預かりしていたオボイストトラウザーズのサンプルを西村さんにお返し。元々私がおかわりしたバックサージサテンをいずれかのお店のサンプルとして送るつもりでしたが、おかてつさんがバックサージサテンでご検討中ということで手元に残し、替わりにウールデニムのオボトラを一旦お預けすることにしました。

今日のBGMはなぜかずっとオーボエの曲が・・・西村さんに聞いたら最初「ラジオです」と言っていましたが、よくよく聞くとゲストを迎えるにあたってシェレンベルガー(プロのオーボエ奏者)の音源を準備されたそう。ということは、ゲストは、、、

と、そこへ本日のお客様が到着。お迎えしたのは元名古屋フィルの首席オーボエ奏者・山本直人先生です。遂にモノホンの“Oboist”が来ちゃいました。

私が山本先生とお会いするのは恐らく大学生時代に出演したソロコンテストの県大会以来。当時私は別のプロオーボエ奏者の先生に師事していましたが、山本先生はコンテストの審査員として会場でご挨拶程度に言葉を交わしたことを覚えています。「リヒャルトシュトラウスを吹いたんだよね、すごく良かったから覚えているよ」と今日も身に余るお言葉をいただきましたが、実際私が全国大会に出場出来たのは先生が良い点数をつけてくれたからだと思っています笑

山本先生にオススメするにあたり、どのような場面でオボトラを穿かれたいのか伺うと「紺ブレの中にノーネクタイでカラーシャツを着て、ちょっとカジュアルな演奏会をするときなどに」ということ。先生はハットを被ってジャズの演奏会なども積極的に企画されていますが、それとはまた違うテイストの場面でオボトラを穿いていただけるとのことで、俄然オススメしたくなってきました。

サンプルのパンツを見ていただきましたが、一番の推し生地であるウールデニムの光沢のある雰囲気を気に入ってくれて、素材はノーマル仕様に決定。若干小さいのですが私のサイズでご試着を。

サイズは調整しますが、ウェストからワタリにかけての雰囲気はとても良いです。180cm近い高身長の山本先生には膝下のテーパードをかけすぎないほうが良さそうなので、裾幅はサンプルより1cm広く。オボイストトラウザーズは完全なオーダーメイドですので、どこの店舗でもお客様の好みに合わせてご提案させていただきます。先生はサンプルを見てピンタック入りのジップフライ仕様でオーダーいただきました。

無事に採寸が済んだところで「実はスーツも一着欲しいと思っていて・・・」と先生。お痩せになって以前着ていたスーツのサイズが合わなくなってしまったところだったそうで、それならばとジャケットのサイズも測っていきます。

あくまでオーボエ演奏時のことを一番に考えてのオーダーですので、例えば袖の長さは普通ならシャツが少し見えるくらいにするところを、オーボエを構えた時に短くなったり引っ掛かりを感じないためにも通常より長めにしたり、スポットライトを浴びるととても暑いため背抜き仕様にしたり。映画のジョン・ウィック2で、キアヌリーブスが殺し屋専用サルトで殺し屋仕様のスーツを格好良く仕立てるシーンを思い出しました。

迷ったのは生地。舞台衣装として着ても映えるように、光沢のある生地を中心にピックアップ。こればかりはお顔に合わせてみないと分からないので、生地を肩からかけていただきます。

山本先生が気に入られたのは言わずと知れた御幸毛織の最高級生地・ナポレナ。かすかに織り柄の入ったとても美しい一枚です。

ジャケットの仕様やボタンや裏地、イニシャルまで細かく一つずつ決めていきます。時折私の意見も聞いてくれて、僭越ながら少なからず私の好みも反映したスーツとして仕上がりそうで完成がとても楽しみになります。

完成は約一ヶ月後。先生とタイミングが合えば、納品にも立ち合わせていただこうと思っています。パストラルを出てからは、それぞれの車で次なる目的地、マルヤスへ。オボイストシャツオーダーの様子は次のエントリーでご紹介いたします。