血潮滾るビスポークバッグ

Leather goods

昨年7月にオーダーしてから待つこと約9ヶ月、いよいよスージースヴェルトのビスポークバッグが完成しました。

鈴木さんから電話をもらってから数日と経たないうちにアトリエへ伺いました。

(アトリエでいつもお出迎えしてくれる鈴木家の一員)

白い保護袋から鈴木さんが取り出す直前、「出来栄えは、どうですか」と尋ねると、鈴木さんから一言、

「完璧です」

と返ってきました。取り出されたバッグを最初に見た時の感動は、きっと生涯にわたって忘れることはないでしょう。

私は完成を待っている間、他の鞄職人さんのブログを過去のエントリーまでくまなく読み返したり、Instagramにアップされている世界中の名だたるバッグを検索したりして、作り手の技術やこだわりなどを目にする度に、「スージースヴェルトもこのようなこだわりを持って仕立ててくれるだろうか」と内心少しだけ心配もしていました。

しかし、完成したバッグを見て、そのような気持ちを抱いた自分が恥ずかしくなるほど、鈴木さんは文字通り“完璧”に、プロのプライドを持って全力で作ってくれたのだと感じました。この辺りは写真ではなかなかお伝えすることは難しいでしょうが、バッグに流れる熱い血潮のようなものを感じたのです。

イタリア製の最高級錠前も、手縫いの迫力に負けないくらい堂々としています。あらかじめ私が指定した時間に合わせるとロックが解除されます。

ゴールドの箔押しでイニシャルが施されたキークロシェットには、厳密に言えば時分をあわせて解錠するタイプの錠前ですので鍵はなく、中には妻と付き合っていた時に肌身離さず着けていたセリーヌのプラチナリングを忍ばせました。もちろんここも全て手縫いです。本体はもちろん、クロシェットのストラップにまで美しいネンが入っています。

細かい部分ですが、クロシェットの長さにも鈴木さんのこだわりが。エルメスのものはもう少し長いのですが、こちらは真っ直ぐ伸ばした時に錠前の下部と合う長さに揃えてあります。

フラップを開ければしっかりクセ付けをしてあるバッグの証拠でもある、この弾力。

錠前も丁寧に取り付けられています。釘の部分の引っ掛かりがないようによく磨き込まれています。ハンマーで叩いて取り付けをする昔ながらの製法で設置されているようです。

内側にはあの触るだけで気絶してしまいそうな極上のラムナッパが使われています。ラウンドボトムのバッグには珍しい、二室タイプ。

前回のモックアップを確認した際に打ち合わせしてあった一番手前の革の処理についてですが、緩やかにカーブをつけてカットされています。これで手前の部屋へ手を入れる際のアクセスが良くなります。形状についてはお任せしてありましたが、出来るだけ角がないようになればいいなと思っていたので、以心伝心でした。

外側サイドから見た図。コバも美しく磨かれています。

今は既に廃業してしまっているという、豊島化学という会社の材料でコバを磨いてあります。鈴木さんのお気に入りだそう。本体に走るクラウフォードのグリーンのステッチも、全体の雰囲気をますますクラシカルに演出してくれています。

試行錯誤して作ってもらったハンドルの握り心地も抜群。少し細いかなとも思ったのですが、持ってみるとちょうどいいですし、見た目もエレガント。

お店の外に出て、鈴木さんに写真を撮ってもらいました。身体のサイズと合わせても、大きすぎず小さすぎないちょうどいいバランス。

ネイビーのスーツにも、きっとグレーのスーツにも、そして靴も色を問わず合わせることが出来そうです。トープは魔法の色。

これまで、総手縫いではないにしてもいくつかラウンドボトムのブリーフケースは作ってきたそうですが、お客さまの手に渡ってからは里帰りすることがなかったそうです。私はずっと使い続けていく中で、鈴木さんに相談することも出てくるかもしれませんし、スージースヴェルトのアトリエが大好きですから、時々訪れてはいろいろお話させてもらえたらと思っています。

まだほとんど使っていないため使い心地のレビューは出来ませんが、私が求めていたより数段上の完成度でバッグを製作してくれたスージースヴェルトさんには、いくら感謝してもしきれません。このバッグは私にとってかけがえのない宝物になっていくと確信しています。ずっと大切に使っていきます、本当にありがとうございました。

(最後にスージースヴェルトの鈴木さんご自身にバッグを持ってもらって記念撮影させてもらいました。ご本人のご意向で目元はカットさせていただきました。)

コメント

  1. gohkiti より:

    完成おめでとうございます!
    オボイストさん、おはようございます!
    ため息の出るような本当に素晴らしいバッグが完成しましたね。おめでとうございます(^^)
    タイトル通り、手縫いの温か味を感じるバッグで、お二人の創意工夫が詰まったまさに一生モノのバッグですね。
    トープの上品さにグリーンの糸、錠前にキークロシェットなど、オボイストさんのモノ選びのセンスと、鈴木さんの経験と職人の腕が結集した最高の出来だと思います。
    単体の写真も美しいですが、オボイストさんが実際に持たれた時の絵が本当にピッタリで、スーツや靴だけでなくバッグのビスポークでも、こんなにも依頼主に人に溶け込むとは思いもしませんでした。
    すれ違ったら皆振り返るんじゃないでしょうか。私はきっと2度振り返ってガン見してしまいます(笑)。
    5月に大阪に持って行かれるとのことでしたが、今から待ちきれませんね。どうか大切に、末長くご愛用ください!

  2. オボイスト より:

    gohkitiさん(^^)
    gohkitiさん、出来上がりましたー!!

    私は全体のイメージ像や理想の革について伝えただけですが、スージスヴェルトさんが上手く私の想いを汲み取ってくれたおかげで、まさに理想的なバッグとなりました。

    ヴォーエプソンの色味、張り、ステッチの色、クロシェットまで、全部が全部思い通り・・・私は私の好みに合わせてオーダーしただけですが、結果的に似合っていると言っていただけて、嬉しいです(^^)

    はい、早くいろいろなショップに行って「どこの鞄ですか?」と聞かれてはドヤ顔で「ビスポークです」と言ってみたいです(^^;)笑

    大阪にはグローブトロッターとともに持って行くつもりですし、つい先日人事から連絡があり、今月末にも就職活動をされている大学生を相手に一日話をしなければならなくなりましたから、最近買ったグレーのスーツに合わせて早速持ち出したいと思います(^^)

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