さて、前回はT.SHIRAKASHI BOOTMAKERの新作ボタンブーツFelixについてを中心にご紹介いたしましたが、今回は白樫さんの元で研鑽を積まれる若き靴職人をご紹介いたします。先回告知いたしましたTTBOのトランクショーにも来てくれる予定です。日生進之介(ひなせしんのすけ)さんは、白樫さんが主宰するShoemaking Training Japanの第一期生。

「いつの日か靴職人になる」ではなく「いつまでに靴職人になるか」。具体的な目標を設定し、最大限の努力を惜しまない方を、Shoemaking Trainingは全力でサポートします。
この言葉通り、このトレーニングプログラムは白樫さんが講師となり「靴職人として生きていく」のに必要な心技体を伝える場です。職人でもない私が知ったようなことを言える立場ではありませんが、靴が作れることと、靴作りを生業とすることとの間には、現実的にはかなりの乖離があるように感じています。私を含めたオーダーする側からすれば、既に世界には、いや日本国内に限った話でさえ、選択肢は十分用意されています。ただ靴を作ることが出来るだけでなく、実際に“食っていける”レベルになるまでのカリキュラム。

書類選考や面接を通ったとしても、卒業に至る前に脱落してしまう方も多い中で、日生さんは白樫さん曰く「なかなか筋が良い」と評する靴職人。今は靴関連の本業の傍ら、週に一度程度白樫さんの製品作りのサポートをされているそうです。日生さんは元々、さまざまな症状の患者様に向けて矯正靴を作っていたそうです。そんな中で趣味で本格的な革靴を作るために教室へ通っているうちに、靴作りの奥深さに魅せられてしまったとのこと。ちょうど募集のあったShoemaking Trainingに応募、今に至るというわけです。

トレーニングを通じて白樫さんとの間には“絆”のようなものが生まれ、白樫さん曰く「いつか自分が引退するときには、本人にその気があれば、継いでもらえたらとも思っている」と仰っていました。職人自らの名を冠したシューメーカーは多いですが、事業を次世代に残そうとしている方はどのくらいいるのでしょうか。白樫さんはあくまで、ご自身の事業のためというよりも、業界全体のことを危惧してこのトレーニングプログラムを発足させたのではないかと私は考えいます。そういう思想の持ち主だからこそ、私がTTBOという事業を始めたときにいろんな形で協力や応援をしてくださったのだと理解しています。日生さんは現在30歳、TTBOに集結している様々な分野の職人たちの多くと同世代です。これから長い時間をかけて、より職人として成熟されていくのでしょう。30代が中心であるTTBOのお客様にとっても、末永いお付き合いが出来る方だと思います。なにせ白樫さんのお墨付きですからね。

この3月に開催するTTBOトランクショーはMTOに限ったイベントになります。木型作りを伴いませんので、フィッティングシューズを使ってサイズを決めて、革などの仕様を決めていきます。「日生君には、是非若い世代のお客様と繋がっていてほしい、今後のためにも」と白樫さんが仰っていましたが、TTBOへ弟子を送り出す師匠の心境を想像するに、私としても是非ひとりでも多くのお客様にお越しいただけたらと思っています。そして当日は別ジャンルの30代の職人が3人、同時イベントを開催する予定です。日生さんにもほかの職人にも、良い刺激を与えあう日になればと願っています。

アトリエ訪問後は白樫さんと3人で食事に行きました。白樫さんのおすすめでアトリエのすぐ裏手にある焼き鳥店のランチへ行きました。おっとりしていて優しそうな日生さん、私と師匠が上焼き鳥丼を頼んだ横で、普通の焼き鳥丼をオーダーされていたのがなんだかいじらしくて、好きになりました笑 結局この日は白樫さんにご馳走になってしまって。自分で払わないならお前も上じゃない焼き鳥丼にしろよと、今突っ込んでももう遅いですが、身がプリプリしていてとても美味しかったです。


イベントについて、予約サイトをオープンいたしました。既に何人かの方からご予約をいただいておりますが、MTOとはいえ制作出来る足数には限界があります。白樫さんと相談しながら、受注上限に達した時点で空き枠は削除させていただきますので、ご検討中の方は是非下記の予約サイトからご入力をお願い申し上げます。何かご質問事項等ございましたら、お気軽にご連絡ください。


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