三人衆、東京へ行く(KEIICHIRO FUKUSHIMA編)

Leather goods

以前は起きたこと全てをブログに書いているくらいの勢いでしたが、最近は1%くらいしか共有できていません。SNSアカウントを持っておらずブログしか読んでいないという方もいるので、本当はもっと頑張りたいのですが、、、すみません。色々と書きたいことがたまっていますが、とりあえず鮮度の高いネタの方が良い記事になるのは明白なので、今日はTTBOと関係のない日帰り東京旅行について。

TTBOのヘビーユーザーで今では一番頼りにしている友人でもある汗だくさん。字面が映えないので本記事では“Kっちゃん”と呼ぶことにします。彼がオーダーしていたKEIICHIRO FUKUSHIMAのビスポークバッグが出来上がったため、もう一人さとしさんも一緒に納品の場に付き添わせてもらうことになっていました。

楽しみすぎて朝は4時頃に起きたのですが、同じくらいの時間にKっちゃんからは「フクシマさんからバッグの写真届いたよ」とLINEが。その写真が既にとんでもなく素晴らしいもので、写真から読み取れる細部のポイントなどについてメッセージの応酬が続き、さとしさんが5時半頃起きたときには何十通もの未読メッセージが溜まっていたようです笑

何を着ていこうか若干迷ったのですが、今シーズン仕立てた自信作TTBOSUITダブルブレステッドのTHE LUMB’S GOLDEN BALEネイビーブレザーに、時在DAVIDを合わせて。足元にはたくさん歩く日にはこれ以外考えられなくなってきているT.Shirakashi BootmakerのフルハンドMTOブーツを選びました。

今回は新幹線で行くことにしていたのでさとしさんと駅で待ち合わせ。Kっちゃんは前乗りで東京前泊でしたので、フクシマさんのアトリエ最寄り駅で集合することになっていました。さとしさんはTTBOSUITのドーメルコーデュロイにオボイストアートスカーフを巻いて登場、同じスーツを私も持っているので被らないよう事前にどっちがコーデュロイスーツを着るか決めてありました笑

なかなか外で自撮り出来ないのでさとしさんに撮ってもらいました。前髪が垂れてたむけんみたいになっていますが・・・笑 眼鏡も12homemadeに別注したTTBOオリジナルクラウンパント、バッグもSusieSvelt製のTTBOブリーフケースで、全身自分の店のアイテムで固めました。長い一日になりそうだったので、後半のエネルギー切れを防ぐためにキオスクで買った朝ごはんを食べてからは、眠ることはなくともリラックスした状態で品川まで向かいました。

訪問が2回目のKっちゃんに指示された最寄り駅まで移動し、9時半頃我々の方が少し早く到着したのでコーヒーショップで待ち合わせをします。10時過ぎに到着したKっちゃんから「フクシマさん用事が一件出来たから11時くらいに来てほしいって」と聞かされ、私は前乗りした彼に頼んでいたペントレーを受け取り。

万年筆大好きなKっちゃんが前日に訪れていた東京ペンショーで見つけた豊岡クラフトのペントレー。ヒノキ材のトレーに抽斗が1段付いていて(足りない方はもっと段がたくさん付いているのもある)、天板と抽斗内のマットは表がペン用、裏がフラットと用途に合わせて使い分けが出来ます。私の場合眼鏡や時計、シグネットリングなどをとりあえずぽんと置ける場所が欲しかったこともあり、ペンショー訪問中に送られてくる彼からのLINE実況を見て、お使いを頼んだのでした。

朝4時から散々やり取りしていたのにべらべらとお喋りは止まらず、気が付いたら11時まであと少しとなっていてアトリエまで移動します。詳細は書きませんがびっくりするくらい普通の外観のマンションの一室にアトリエはありました。道を歩いていてKっちゃんが突然立ち止まったので、どうしたんだろうと思ったら目の前に到着していた・・・というくらい街に馴染んだマンションでした。

少し緊張しながらエレベーターに乗って、部屋の前のインターホンを押ししばらくすると、チャンピオンの白いTシャツにリーバイスの501というラフな恰好をしたフクシマさんが我々を迎え入れてくれました。私はこの日はあくまで脇役ですので、納品の瞬間を観客として見守ることに徹する・・・はずでしたこのときはまだ。

白樫さんのブーツでしたので脱ぐのに私だけ少し時間がかかったのですが、先に部屋の奥に入ったKっちゃんとさとしさんが嬌声にも似た声を上げているのが聞こえてきて、どうやらバッグの完成度は相当なものなのだろうと覚悟を決めて私も入室します。そこで待っていたのは・・・

エトープのヴォーエプソンで作られたKっちゃんのビスポークバッグです。エルメスのバーキンのような雰囲気もありますが、フロントの下部から錠前へと渡したベルト部や、マチ部のドレープなどが生む陰影はまるで美しい建築のような芸術性を感じました。世界中を旅して美しい景色や建造物などをたくさん見てこられたフクシマさんの感性は文字通り唯一無二。こうした言葉を連ねれば連ねるほどうそっぽく響くのが嫌になるくらいの美しさです。

サイズもKっちゃんの大きな身体に合わせて、オーダー時よりも1cm弱横幅を広めに調整したそうです。1mm単位で調整が可能で、一点ずつ型紙から作るビスポーク。過去に作られた写真を見ながらKっちゃんはマチは広めにとりハンドルは肩掛けしないため短く作ってもらっていました。ハンドルを握る腕には同じフクシマさん製の時計ストラップが装着されています。ヌバッククロコのベルトとバッグの相性は言うまでもなく完璧なマリアージュ。

ライニングは同色系でお任せだったようですが、マロングラッセのような美味しそうな色のスエードで出来上がっていました。Kっちゃんも言ってましたが、こちら側のセンスが追い付かないような領域にいる職人さんにお願いする場合は、必要最低限の内容だけ伝えてあとはお任せにしたほうが絶対に良いと思います。フクシマさんもまた、常人の理解の範疇を超えた先、完全にそっちの領域の方でした。

元々この日さとしさんは「せっかくだから僕も時計のストラップ頼もうかな」と言っていたので、リザードのストラップを検討しているのですが・・・とフクシマさんに伝えたら、奥の部屋から山のようにリザードの革が運ばれてきました。「海外で良い革見つけると全部買っちゃうんですよね」とさらっと仰ってましたので、国内の革問屋などは使っていないのかもしれません。リザード以外に日本に流通していない見たことのないような革をどんどん出してくれて、その中から「これ好きです」と伝えると、好みに合うまた大量の革が運ばれてくるという感じで・・・笑 もうたまらない時間でした、2泊3日くらいでフクシマさんの部屋だけのための旅行を組みたいくらいです。

そんな様子を見せつけられていると私も我慢できるはずがなく・・・苦笑 飛田さんの時計に合う素材がないか探していたところ「こんなに腑の小さいリザードはなかなかない」という小さな革を見つけました。時計ストラップ以外に作れるものがないくらいの小さな個体で、TYPE1Cを合わせてみたらもうばっちりで。これは私がストラップを作るために残っていたんだと自分に言い聞かせて、オーダーすることにしました。

さらに、私はもう随分昔から何年もトランクのビスポークに憧れていて。FugeeかOrtusか、さてどこで頼もうかと悩んだり一旦離れたりしているうちに6~7年経っただろうか。それが、フクシマさんのアトリエでまさに今制作されている途中の高貴なパープルスエードのジュエリーケースを見せてもらったとき「ここだ」と確信に変わりました。これまでに見てきたどのトランクよりもフクシマさんのトランクの品格は群を抜いていました。ご自身も「圧倒的な自信を持っている」と断言されていて、全部任せてしまいたくなってしまいました。かくして私は一体どうしたことか、完全な脇役に徹するはずだったのがビスポーク時計ストラップとビスポークトランクを同時にオーダーするという暴挙に出たのでした。あとからKっちゃんやさとしさんが言うには「まばたきの回数が明らかに増えていて白眼を剥いていた」とのことでしたが、全く記憶にありません。

トランクは革は選びましたが、細かい仕様については実際に制作に取り掛かるタイミングなどで詰めていくスタイルのようです。ですので、正確な金額なども分かっていません。もうどうにでもなれと、この瞬間を何年も待っていた私に怖いものはありません。カウチに背を預けて昇天している間にも、フクシマさんにはTYPE1Cを預けて採寸をお願いしました。

これがまたびっくりするほど緻密に時間をかけて作業されていて、正しい表現か分かりませんが全く職人っぽくない(どんな人物か調べても、アームレスリング大会優勝についてや富士山の前で習得されているカポエイラを披露する動画などしか出てこないので本当にお会いするまでちょっと不安だった)フクシマさんのスイッチが入る瞬間を“目撃してしまった”気分になりました。

結局Kっちゃんもブラックのリザードで3本目となる時計ストラップをオーダーされたところで、次の予定までぎりぎりの時間になってしまって。2時間半以上いたはずなのに全然足りませんでした。もっとも途中は意識がどっか行っていたのであまり覚えていないのですが。

そんなわけで人生最高のバッグ納品の瞬間に立ち会わせていただき、自分も念願だったもののオーダーが叶い、さとしさんはオーダーしたのと別にもう1本ストラップを頼むか悩んで悶々とし、愛知から来た3人はそれぞれがそれぞれに気絶しながら、次の目的地へと向かうのでした。

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