私の仕事は地域に密着した業務を行なっておりますので、基本的にいつも同じエリアにいますが、時々お客さまのご紹介で商談などがあれば出張に出向くこともあります。
この日もご紹介の案件で和歌山県で2件の商談。アポイントメントは17時でしたが、道が混んでいるといけないからと早めに出発・・・すると新名神はガラ空きで順調に進み、まだ時間があったのでちょっぴり寄り道を。
向かった先は大阪市天王寺にある文二郎帽子店。最近私は、来月のハワイ旅行でパナマハットを見るのを楽しみにしていて、帽子はもうずっと前(5年以上)片想いしているアイテムなのですが、日本の老舗帽子店のパナマを見てからハワイに行くと色々と参考になるかなと思いまして。
派手さはありませんが、素敵なお店構えです。
帽子専門店なんてあまり行ったことがないものだから少し緊張していましたが、お店にいた男性に「パナマハットを見させていただけますか」と声をかける。60代くらいだろうか、オールアップのパナマハットを被った小柄な男性は、とても柔らかで紳士的な所作で、パナマハットのことを教えてくれました。
生意気にも「パナマ買うならモンテクリスティ!」と意味もよく分かっていないながらちょっとだけ勉強して行ったのですが、WEBサイトの画像で見るだけではグレード間の差はよくわかりません。実際に触れてみて、被ってみて、良いパナマハットの軽さとしなやかさに驚いたのでした。モンテクリスティのパナマは文二郎帽子店の中でも最も高い30万円。ボレロの靴一足分、Fumiya Hiranoのジャケット一着分。もちろん高いけど、熟練の職人が3ヶ月以上もかかって仕上がるパナマハット。3ヶ月働いて30万・・・と思えば、妥当、むしろ安いような気もしてくる。実際、ボルサリーノブランドになればこの2倍以上はするそうです。
とはいえ、とはいえ。私には30万はなかなかハードルが・・・と思っていると、
「元々グレード5(約7万円)モデルとモンテクリスティ(30万)の間のモデルは存在しなかったのですが、今年初めて18,15,12万のモデルを作ってみました。するとすぐに売り切れてしまい、今残っているのは15万,12万のモデルが現品一つずつです。」
と紹介してくれたのがこちら。自分に似合う帽子を見つけるために色々と被ってみたら、サイズは59、ブリム幅5.5cmのものが一番しっくり来まして、ちょうど15万円のモデルが58サイズの5.5cm。モンテクリスティモデルと比べても、私には十分上質なように感じます。少なくともグレード5のハットと比べると明らかにしなやか。
Fumiyaさんのスポーツジャケットに、大塚さんに頼んでいる三者混ジャケットに。夏場にもクラシカルな装いを楽しむのに一役買ってくれるであろうパナマハット。横から見ても美しいシルエットです。
正面から。文二郎ハットの特徴は、日本人に合うようにクラウンの高さが抑えられているそうで、だからなのかは分かりませんが私は生まれて初めて帽子をかぶってしっくり来た感覚を得ました。
この15万のモデルは58cmで若干小さいのですが、オーダー後にサイズを直して、名入れをして、希望があればリボンの色も変更することが出来るそう。ちなみに男性のお薦めは濃いブラウン。一見クロにも見えるのですが、全体に非常に優しい印象になります。リボンを仮留めして私も合わせてみましたら、ブラックと迷ってしまうくらい格好良かったです。
来月ハワイでパナマを見てこようと思っている旨を伝えると、「私も一度行ったことがあります、素晴らしいお店ですよ。」と教えてくれました。ハワイのニュートはやはりかなりハイグレードなパナマが多いそうです。
それで「差し支えなければ・・・お名前や御連絡先をこちらに」とノートを差し出されたので、流れで名刺交換をすると、さっきからお話してくれていたこのお方がまさに西川文二郎さんその人!!! 50年帽子職人として働いてきた文二郎さん、控えめで、優しい方でした。。。
最初に「私はとにかく帽子が似合わなくて」と自嘲気味に相談したときも、「いえいえ、そんなことはありませんよ。こちらをどうぞ、被ってみてください・・・あぁ、とても、お似合いですよ。これまで被られてこなかったのは、勿体無いような気がいたします」とお世辞か分かりませんが丁寧なお言葉で接客してくれるのは、とても心地よいものでした。
さらに、文二郎のパナマハットやフェルトのハットは、アフターケアも充実。シーズンオフにクリーニングを依頼すると、汗止めなども全て新品にしてくれて綺麗になるそうです。特に夏に使うパナマハットはたくさん汗をかくでしょうし、メンテナンス環境が充実しているのはとても心強い気がします。
「是非いろんなメーカーの帽子を見てから、よろしければまたご連絡をください。」と言ってくださった文二郎さんのお言葉に甘えて、今回は購入しませんでしたが・・・あの15万の帽子、一点限りなんだよな。また欲しいものが増えてしまいました。しかし、思えば私の性格からすると「海外の一級品に勝るとも劣らない、日本人の職人さんが作ってくれたモノ」という点で、とても大切にしていく気がするんです。何より私は、文二郎さんのお人柄にすっかり惚れてしまってみたいです。どうしたものか・・・とにかく働いて、購入資金を調達してきたいと思います。
※試着中の写真は文二郎さんが撮影してくれました。数年前にお身体を壊してから手に痺れが残っているということなのに、無理を言って撮っていただき、ありがとうございました。
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