スージースヴェルトにお願いしているビスポークバッグもいよいよ最終段階、完成前最後の打ち合わせに行ってきました。
各パーツごとに裁断された革。芯材である白いゴートレザーと合わさっています。表の革によって芯材の革も変えるそうです。ゴートは鈴木さんも好きな革で、既製品として展開されているスージスヴェルトのコレクションにも使われています。(詳しくはこちら。)
サイドの部分。革が重なる部分は鈴木さんの手作業によって漉かれています。
特にライニングに使っているラムナッパについては元々かなり薄い革であるため、機械では漉くことがそもそも不可能だそう。私も一応自分で鞄を作ったことがありますが、漉く時の緊張感たるや・・・表側までいってしまったらどうしよう、と非常に恐ろしいものでした。
それにしてもこのライニングのラムナッパ、久しぶりに触りましたがとろけるような手触りにうっとり。内張りに使うなんて、本当に贅沢。
エプソンのトープと色味が近すぎて面白くないかな?とも少し思ったりしましたが、こうして合わせてみると素材感・色味ともに、マッチしていながらもそれぞれの良さを潰し合わない程度に違っていて、想像以上に良かったです。
ちなみに、これは内側のボトムの部分です。今回鈴木さんにはこういう見えないところまですべて完全手縫いでお願いしてあります。グリーンのクラウフォード糸もクラシカルでありながら小さな主張があります。
ハンドルはこちらが完成品。エレガントな印象が出るようにほんの少しほっそり。
革のハンドルって私はすごく好きな部分の一つで、ずっと見ていても飽きないんですよね。両端の形状はエルメスに倣って。
実はハンドルについては、鈴木さんから「チェレリーニのブリーフケースで少しコバに厚みのあるハンドルを見つけて、結構良かったので試してみたい」と以前ご提案がありました。実際に分厚くして作ってみたそうなのですが、いまいちエレガントさに欠けるため2本の試作を経て、鈴木さんの納得いくものがこの中で一番左側。
これまでの経験で作ったことのあるものの中からではなく、色々とトライしてもらって最善の方法で仕上げてくれるというのは、作ってもらっている私としてはとても嬉しく感じました。最初のときに聞かせていただいた言葉通り、全力で取り組んでくれているのだな、と。
それは、細かい部分ですが内側のペンホルダーを見てもわかります。
「スライドさせて太さを調整できるようにしてみました」とのことで、細部にわたって工夫を凝らしてくれていることが嬉しいのです。
今回は今出来上がっている分の確認の他に、打ち合わせ事項が二つほど。
まずは、イニシャル入りの刻印がされた四角い革のパーツをどこに持っていくか。
フラップを開けて一番手前にくる革の上部が、今日の段階ではストレートに仕上げられていましたが、鈴木さんから「これだと中にアクセスするときに少し邪魔になるから、少しカットしたい。その場合はフラップの裏側に四角い革を持って行った方がバランスがいいと思う」とのことでした。文章では分かりにくいと思いますが、冒頭の写真で錠前がついている革の上部のことです。
エルメスのサックアデペッシュなどの写真を見ながら、検討を進めます。
結局、ここの作りについては鈴木さんのセンスに一任することに。基本的には少しカットしてもらう予定です。
それから、補強材を入れる位置について。エルメスのサックではフラップ前面の方には補強材を入れていないそうですが、それだと軽やかな印象になる一方で長年の使用により形が崩れる恐れもある、ということでしたので、いつもの鈴木さんのバッグでされているように前面にも補強材を入れてもらうことにしました。その方が張りも出て見栄えも良いらしい。
当日私が持っていたルボナーのバッグなどを鈴木さんが触ってみても、やはりフラップ部分に補強材が入っているようでした。
錠前についても、私が指定した番号でもう合わせてもらいました。専用の工具を使って時計型錠前のナンバーを合わせる。
錠前のナンバーを合わせてロックをかける仕様であるため、本来なら不必要な鍵をしまうためのキークロシェ。ここには、妻と付き合っていた時につけていたペアリングを忍ばせようと、当初から計画していましたので、一旦鈴木さんに預けてきました。セリーヌのプラチナリング。思い出がたくさん詰まっています。
というわけで、完成前にスージースヴェルトのアトリエに伺うのは今回が最後となります。バッグ作りは実際の作業時間以外に、いろいろと作り方について考えたりする時間も必要ですから、納期についてはゆっくり作ってくださいと伝えてあります。ゴールデンウィークに大阪に行く予定があるため、その時持っていけたらいいかなとはなんとなく思っていますが、完成まであと少し。気長に待ちたいと思います。
コメント
完成間近!
オボイストさん、おはようございます。
ペーパーモックから早1ヶ月余り、いよいよ完成形が見え始めましたね!
ペーパーモックだけでも素晴らしい出来でしたが(苦笑)、実際革で見るとやはり自分のことのように興奮してしまいます。
スージースヴェルトの鈴木さん、試行錯誤しながら最善の選択肢を提案してくれる辺り、本当にイイ物を作ろうという職人の気概が伝わってきて、嬉しくなりますね。
いよいよ夢のバッグも完成間近となれば、仕事にも一層打ち込めそうですね(とは言え、先日すでに多忙のようでしたので無理をなさらぬよう)。
余談ですが、Boleroさんでの私の体験記事、ありがとうございました(^^)
gohkitiさん(^^)
こんばんは! コメントありがとうございます。
はい、上質な革が上質な技術を持って段々と立体になっていく様子に、私も興奮が抑えられません(^^;)
本当に細部にわたって、きっと私が気づかないようなところにまで、様々な新しい工夫を凝らしてくれているのだと思います。今スージスヴェルトとして作ることのできる最良のバッグを作ってくれていると信じています。
とんでもありません、次回仮縫いはきっと東京方面で実施されるでしょうから私は同席できないかもしれませんが、引き続き続報も楽しみにしておりますので(^^)