横山秀夫『ノースライト』

いやぁ〜・・・最高でしたね。
横山秀夫
 
発売日:2019年2月28日
形態:単行本
ページ数:426
オススメ度:★★★★★★!!!
基本的に五つ星満点でオススメ度を示している当ブログですが、こちらの本は是非皆さんにも読んでいただきたい、自信を持ってオススメ出来る一冊でしたので★6つとさせていただきました。最初から最後までまんまと読まされた、骨太のサスペンス・・・
横山秀夫といえば『64』に『クライマーズ・ハイ』、『半落ち』と超有名どころばかりで、そしてどれも映画化されている売れっ子大物作家なわけですが、ちょっぴり天邪鬼な私は映画化されてしまった後にその原作を読むということをほとんどしない為、実は初めて読んだ作家でした。
主人公・青瀬は、日々「一級建築士の体面を辛くも保ちつつ、実際にはクライアントの顔色を窺い、媚びた図面を引」き、ただ一人で暮らすマンションで飲んで食べて寝るだけのために仕事を片付けている毎日。離婚した妻が親権を持ち、月に一度、一人娘の日向子との面談も8年重ねるうちに、日向子が本当のところ何を考えて青瀬と向き合っているのか分からなくなってきていた。
そんな中現れたクライアントの吉野から、「信濃追分に八十坪の土地があります。建築資金は三千万円まで出せます。すべてお任せします。青瀬さん、あなた自身が住みたい家を建ててください」と依頼を受け、忘れかけていた建築家としてのプライドを取り戻させ、やがて『平成すまい200選』に“Y邸”として掲載され青瀬にとっての代表作となった。
しかし、引き渡し後は待てど暮らせど吉野から連絡はなく、そして実はY邸に吉野一家は引っ越していないことを知る。その理由とは・・・?
と、ざっとしたあらすじはこんな感じ。
青瀬の建築家としての生き様、元夫、父親としての苦悩、青瀬が所属する岡嶋設計事務所の個性的な面々、消えた吉野一家の謎・・・どれを取っても一級品の小説で、いろんな角度で楽しむことが出来ました。いろんな謎が解決されていくラストスパートの中にも、コンペを巡る壮大なドラマがあり、とにかく読まされました。
私は他の横山作品を読んでいないため何ともいえませんが、物語のキーとなるタウトの椅子についてなど、巻末の参考文献を見ると随分研究なさって書いているようで、ストーリーの持つ説得力も並外れていました。芸術という面で言えば、原田マハ好きにもオススメ出来る内容と言えます。
とにかく、読んでみて欲しい。私ももう一回読み直そうと思います、そのくらい気に入りました。これは何かしら賞を獲るだろうな。もう原作は先に読んだし、もし映画化されたらその時はみに行ってみようかな。

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