第二回ペルティコーネ受注会 ②

Shoes

後編では今回新たにオーダーいただいたお客様のご様子を紹介します。まずは関西からこのために名古屋へ来てくれたポテロンさんです。第二回受注会日程が決まった際に「オボイストモデルなど靴が一通り揃ったタイミングで、一足とびきり良いスペシャルなシューズをいかがでしょうか」と伺ってみたところ「まさに最近、ビスポークしたいなって考えてました!」と以心伝心だったようで。実は彼は前日から名古屋にいらしていて、もう一人のゲストと会食したのですが、そのときの様子についてはまた別記事で改めてご紹介したいと思います。

予めどんなモデルをオーダーされたいかLINEで聞いてはいたのですが、まずはずらっと並んだビスポークサンプルを手に取ってじっくり見てもらいます。パンチドキャップトゥのド定番デザインのサンプルを眺めて「こういう一生使える間違いないデザインも良いけど・・・」などと色々悩みつつも、最終的に選ばれたのは事前に伺っていたモデル、ストラップブーツでした! 実はポテロンさんが来られる前にこのモデルを希望されていることを吉本さんに話すと「非常にフィッティングが難しいので2足目以降だと助かりますが・・・その時は、腹を括って頑張ります!」と仰っていたのですが、ポテロンさんが格好良いブーツを手にうっとりされている様子を見て「嬉しいです、頑張ります」と気合を入れ直していました。

この美しいサンプルはダークブラウンのカーフに同色のチンギアーレを組み合わせていました。上部の短いストラップのみで調整しなければならないためフィッティングの難易度が非常に高いそう。どんな革でオーダーされるのか伺うと、ポテロンさんは既に頭の中にイメージが固まっていたのか「ブラックカーフにブラックチンギアーレでお願いします」とほぼ即答。そしてシルバーのバックルをご希望され、ストイックさの中に静かな力強さが宿る素晴らしいブーツの完成が目に見えるようです。

どっしりとした英国生地で仕立てられたパンツを穿いたポテロンさん、ここから採寸に入っていきます。緊張気味のポテロンさんに「怖いですよね、でも痛いことはしませんから安心してくださいね」とジョークを交えつつ。いつも通り、色のついた丸いシールをソックスの上から貼っていきます。

「これまでの私のお客様の中で一番細い足です」と吉本さんが驚かれる通り、ポテロンさんはSewnオボイストモデルでも通常のラストが足に合わず、Sewnの工房にはポテロンさんのために特別に削ったポテロンラストがあるくらい。ミドル丈ブーツの仕立て映えしそうな綺麗な足で羨ましいです。

ペルティコーネ受注会ではおなじみのフットスタンプを使った足裏の採寸も行います。「非常に素直で綺麗な足ですね」とポテロンさんの足裏の様子を見ながら解説。こうした体験も普段ではなかなか得難いものかと思います。自分の癖を理解する上でもありがたい。

実はこの日の午前中、一度豊橋へ移動しアルデックスにてオボイストシティサファリをオーダーいただいていたポテロンさん。私が選んだドラッパーズのヘリンボーンの色違いを選ばれたそうで、完成が楽しみでなりませんが、そんな超フットワークの軽い彼に「この後はすぐ帰られるのですか?」と伺ってみたところ「SusieSveltさんによってクラッチバッグを見せてもらうか悩んでまして」とのことでしたので、私から鈴木さんに連絡を取ってその場でアポを取り訪問が決定。最後に吉本さんと記念撮影でイベントを締めくくります。比較的小柄なポテロンさんと、190cm超えの吉本さんが並ぶとかなりの身長差があります。ポテロンさんは実は来月もオボイスト関連の用事で名古屋に来られることになっていて、毎度ご遠方から応援に駆けつけてくれて本当にありがたいです。ペルティコーネは納期2年としばらく先の話にはなりますが、きっと気に入っていただける格好良いショートジョッパーが完成すると思いますので楽しみにしていてくださいね♪

次のゲストは先日の東京日記で登場したばかりのナオキさん。最近やたら会っている彼は、愛知旅行の最後、ラーメン屋の列に並びながら「革靴もどんどん値上げされていっちゃうし、ペルティコーネも仕込んでおいたらどう?」と半分冗談で聞いてみたところ、後日「ホールカットなんてどうですかね?」と連絡がありました。“THE令和の都会人”ナオキさんの余計な装飾のない洗練されたスタイルに、ビスポークのホールカットなんて最高の組み合わせじゃないですか! そんなこんなでオーダーいただけることになり、またしても日帰りで愛知までやってきてくれたというわけです。

「てっきり最寄りが名古屋駅かと思って結構歩きました」とご来場されたナオキさん、30℃を超える暑い日だったというのに、お風呂上がりのような清潔感が漂っているのは一体どうなっているのでしょう。到着するなり吉本さんとJunさんに挨拶がてら「こちら、お湯を注ぐだけで美味しく飲めるおすすめのコーヒーです」とお土産を渡す姿は完璧過ぎて入り込む余地がありません。私も東京旅行時に以前いただいて気にいっていたカフェラテベースをまた貰ってしまって、比類なき細やかな心配りに感嘆。

この日のナオキさんは、汗対策で到着後に付け替えたパテックフィリップのゴールデンエリプスに、そのエリプスの文字盤を見たスタッフがオススメしてくれたというリングヂャケットのネイビージャケット、そしてウールデニムでオーダーいただいたオボイストトラウザーズというこれまた完璧な装いです。元々スタイルの良いナオキさんですが、オボトラの美しいシルエットがさらにそれを引き立てます。ウールデニムオボトラを引き取りがてら、夏用にブッチャーオボトラもオーダーされているといのだから本当に末恐ろしい男です。

ナオキさんも一旦はビスポークサンプルをいくつか手に取って眺めていましたが、やはり最初に思い描いていたホールカットのイメージが強かったようで初志貫徹。吉本さんから「アイレットの数やトゥのパーフォレーションはどのようにしましょうか?」と聞かれてしばし悩んでいると、Junさんが「せっかくのビスポークですから、仮縫い時は右と左それぞれ、ベルルッティのような3アイレットと、ベーシックな5アイレット、トゥもパーフォレーション有と無で作ってもらいましょうよ。ビスポークですから!」とさすがのアドバイスをいただきその方向で進めることになりました。百戦錬磨のJunさんからのアドバイスは本当に説得力があり、私も接客しながらいつも勉強させてもらっています。

ソールはブラックのホールカットらしく黒一色、ただし多少の滑り止め効果もある模様を入れてもらうことに。ヴェヴェルトウェストでグラマラスに、エロい靴が出来上がりそうです。

ナオキさんもこれが初めてのビスポーク・・・というかこのお方、ハマってから頂点を極めるまでのスピード感が尋常じゃないんですよね。時計だってグランドセイコーを買ってから1年後にはエリプスですし、革靴もまだハマりだしたところだと思ったらもうビスポークですから。隙のない男ナオキに、余計な寄り道は必要ないのかもしれません。

こちらもフットプリントを取ります。ポテロンさんほどではありませんがすらっとした非常にアーチの高い足で、ウェスト部のくびれをかなり攻めて作れそう。ますますナオキ’sホールカットが格好良くなってしまう。。。

諸々のお手続きが完了し、その後も時間が余っていたので革のサンプルを色々とご紹介。ホールカットで揺るぎはありませんでしたが、こんなのもいいなーあんなのもいいなーと妄想する時間も楽しいですよね。我々のトランクショーに来てくれる方は今のところ100%私のブログの読者様ばかりですので、私と同じくらいの若い世代が多く、今後職人さんとも長いお付き合いが出来る方ばかりです。吉本さんも「ご紹介のお客様、どの方も純粋に“靴が好き”という気持ちが感じられて、応対していてとても気持ちが良いです」と仰ってくれました。

一通りのお客様対応が終わってから、チェックアウトまで少し余裕があったので「では、コンビニでワインでも買って一杯やりましょうか!」とJunさんからお誘いいただき、3人で夕食前の“食前酒”をいただきました。チンするタイプのマルゲリータとアルパカワインが、Junさんと吉本さんと食べると高級ロゼと高級パニーニに感じるから味覚なんて案外あいまいなもんです。

時間になりチェックアウト、その後はホテルすぐ近くの山本屋で味噌煮込みうどんをいただきました。愛知から出たことのない私からすると馴染みの食べ物ですが、蓋をお皿がわりにする名古屋流はやはりお二人ご存じなく、説明というほどでもない説明をしながら楽しく食事。ここでもビールを一杯飲んでお酒に弱い私は真っ赤でしたが、尊敬する二人と一仕事したあとに飲むお酒は最高でした。次回は来年春頃の予定ですが、それまでになんとかお金をためて私も2足目、お願いしたいな・・・笑 ご興味のある方はいつでもお気軽にご連絡ください、トランクショーの日程が決まり次第優先的にご案内させていただきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました