今朝、HODINKEE日本版のウェブサイトで、私が敬愛して止まない飛田直哉さんの時計コレクションについての動画がアップされました。
時計業界で活躍すること30年以上という飛田さんのコレクションはどれも魅力的、時計好きになられたきっかけやそれぞれの時計を手に入れた際のエピソードが語られています。対談相手となっている和田さんは、InstagramにアップされたNH WATCHの写真を見て拝見したのがきっかけで他の投稿も楽しみにしているのですが、時計の素材が活きた素晴らしい写真を撮る方です。和田さんが撮られたNH WATCHの写真が個人的には最も好きです。
私が感じている敬慕は単に飛田さんが“時計に詳しいから”という点だけではなく、言葉の節々に感じさせる知性やユーモア溢れる人物像に惹かれていることもあり、少しでも飛田さんのような素敵な大人に近付きたいという一心で彼に薦めていただいた本などを買い漁っては読んでいます。小説中心の読書生活を送っていた自分の知らない世界に連れて行ってもらえるようで、とてもワクワクしますし勉強になります。
もう一つ、最近よく拝見するYouTubeチャンネルが香港のThe Armoury。私はファッションのルーツがはっきりしていないというか、自らの不勉強さも相まって、決まった国や歴史・流派・特定の個人を参考にしてスタイルを組み立てるということをあまりしないのですが、マークチョウさんのスタイルについては非常に強く憧れを感じています。彼もまた熱心な時計のコレクターとして知られていて、YouTubeでも紹介されています。(彼の“What Am I Wearing and Why?”にも頻繁にNH WATCHが登場します)
で、前置きが長くなりましたが、「時計業界に身をおく」わけでもなく「熱心な時計コレクター」でもない私の時計たちは一体何を基準に選ばれたのか、今一度振り返ってみようと。そして私にとって時計とは何なのか。
私が初めて手にした機械式時計は父が海外出張時にお土産に買ってきてくれたハミルトンのビューマティックです。最初はブラウンの型押しカーフベルトが付いていました。私のファッション好きは突然変異みたいなもので、父も母も特別服飾にお金をかける方ではありません。そんな父がお土産にしては随分高価な時計を買ってきてくれて、「一生?使ってね」と渡してくれたのがハミルトンでした。
最初は「なんで電池が無いのに動くんだろう」と不思議でした。名前の通りシースルーの裏蓋から機械が見えるようになっており、クオーツ時計とまた違うずっしりとした存在感が嬉しかったものです。最近は時々スーツに装着するくらいですが、多分父は覚えていないと思うけど「一生?使ってね」と言われているのでずっと使うつもりです。純正のステンレスベルトを別のタイミングで購入しましたが、近いうちにブラックのベルトに付け替えようかなと思っています。
社会人二年目の夏。営業マンという仕事柄なのか、同期たちがこぞって高級時計を手に入れている姿を見て「時計か・・・」と半ば焦燥感のようなものを感じながら覗いたブティックで一目惚れしたIWCのアクアタイマー。元々は買うならもう少し薄いドレスウォッチかカルティエのタンクかなと思っていたのですが、当時が一番がむしゃらに仕事に打ち込み、上司に扱かれたくさん失敗も重ねていたからか、この時計のタフなスペック・ビジュアルに「もっと強くならなきゃ」と感じたのかもしれません。天候を問わず使えるので、海外旅行時にもよく活躍してくれました。
4年前の誕生日に妻がプレゼントしてくれたのがknot。アパートで宝探し形式で隠されたこの時計を見つけたときは嬉しかったなあ。当時のブログを読み返してみると、「アクアタイマーが重くて一日着けてると疲れる」なんて贅沢な悩みを妻に話していたようです。だから軽くカジュアルなknotを。しばらく妻が使っていましたが、このエントリーを書くにあたって取り返したら急に愛着が湧いてきた。電池が切れてるようだから、これは早急に交換しにいこう。
そしてチェリーニ。私の最も気に入っている時計。「ギョーシェ彫りが施された金の時計」というイメージは他でも無いgohkitiさんに強く影響を受けています。今ではスージースヴェルトのビスポークベルトも装着され、なくてはならない相棒です。安定して高水準な成果を仕事であげられるようになってきて、2017年に購入。これもブログを振り返ってみると“大人の品格、知性、プライド・・・そして責任”というキーワードで選んだみたいです。今でも、我ながら良い選択だったなと思っています。
一番最後に手に入れたのはTUDORのヴィンテージウォッチ。名古屋のマルティニークで催されたフェアで購入しました。最も小ぶりな黒文字盤、非常に使用頻度が高いです。サイズ感がとても良く、そして軽いしどことなく可愛いので、服装を選ばず着けられます。ずらっと並んだヴィンテージウォッチの中から、マルティニークで担当してくれていたスタッフの方と一緒にじっくり選んだのを思い出します。オールドインターやカルティエでなく、あえてチュードルを選んだのは自分でも意外でしたが、それだけしっくりきたということだと思います。
このラインナップを見て感じるのは、私にとって時計は“象徴”なんだなってこと。中の機械やスペックについては正直よく分かりません。それでも「この時計が似合う男になりたい」とか「プレゼントしてくれた相手の気持ちが詰まってる」とかそういう観点での時計選びがあっても良いと私は思っています。
でも、靴と同じで私は自分がちゃんと使える範囲の数しか持ちたくありません。持ちたく無いというか、欲しいのは欲しいんだけど使ってやれないことがストレスに感じるのです。この中でもIWCは今でさえ使う機会が激減していて、ちょっとどうしようかなと思っているところ。“one and only”のページにも載せていますが、次に買うとしたら飛田さんのNH WATCHで時計はアガリになると確信しています。今年こそ30歳記念に購入するぞと勝手に決めていたのですが、絶賛協議中(?)です。それこそ人との繋がりで成り立っている私の服飾人生を“象徴”するような素晴らしいピースですから、なんとか手に入れたいのですが・・・どうなることやら。とにかく皆さんも是非一度HODINKEEの動画を見てみてください、オススメです。
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