30歳記念に何を選ぶ?

日常

30代の抱負について割と長い記事を一本書いたのですが、めちゃくちゃビジネス寄りで他人が読んでも面白くなさそうだったので結局非公開記事として自分専用に留めておきました笑

キーワードだけ簡潔にまとめると「人を信じる力をつける」ということです。今後は自分の力だけに頼らず、人を信じ任せることで大きな流れを作っていけたら良いなと思っています。仕事においても、家庭においても、人間関係全般において「人を信じ、任せる」ことで生まれる予想しなかった結果(成果)を楽しむ余裕のある男になりたいです。

で、20歳の時にもらったコートがその後の価値観に大きな変化をもたらしたのと同じように、30代の自分の方向性を決めるのに相応しいアイテムはなんだろうと。私は何年も前から「30歳で記念品を買う」と決めていました。下の写真は恥ずかしながら会社の研修で書いたページです。「くっだらねぇことさせてないで早く現場に戻してくれよクソ忙しいのに」という感情剥き出しの汚すぎる殴り書きで恐縮ですが笑、当時考えていた以上に順調に、立てた目標をクリア出来てました。ここにもちゃんと「なんか買う」っていうことは書いてありますね。子どもは授かりものですからコウノトリが運んできてくれるのを待つしかありませんが、記念品は自分から買いに行かないと手に入りません!

で、実は前から欲しいものは決まっていました。one and onlyのページでも最初に載せてありました。それは、飛田直哉さんが2019年3月に発表したNH WATCHのTYPE 1。飛田さんと出会ったのは2018年12月のことでした。“生ける伝説”とは当時別の方のことを指してつけたタイトルでしたが、飛田さんも時計の世界では相当なa Living legendです。

ブログやInstagramで繋がった服飾好きばかり、確か10人くらいのメンバーで、私と飛田さんはロングテーブルのちょうど対角線上の端と端に座っていました。結構な距離もあったのに、正確に「今日されているのは、Rolexのチェリーニですね」と言い当てられました。その後チェリーニはロレックス社の中でも相当に時計好きな少数のチームが手がけるアイテムであることをお話ししてくださいました。「他にどんな時計をお持ちですか?」と聞かれたので、「IWCや、妻がプレゼントしてくれたknotなど・・・」と私が言うと、knotの現代的なビジネスモデルについて「非常に画期的で素晴らしい時計だと思いますよ」と褒めてくれたのがとても嬉しかったのを覚えています。名だたるブランドで重要なポジションの仕事をしてきた飛田さんがknotについて褒めてくれたのはちょっと意外で、色々とお話をするうちに飛田さんの持つ人間力と世界観に私は引き込まれました。「実は今度、自分のブランドとして時計を発表するんですよ」とお聞きしたのもこの日でした。もちろんデザインや詳細は分かりませんでしたが、「服好きの会で出会った時計博士が発表するオリジナル時計」というだけで興味津々。

私はずっと、縁で繋がった方々と作る作品を楽しんできました。Fumiyaさんも、スージースヴェルトも、大塚さん、そしてSewn・・・全て「誰かの紹介または偶然」で出会った方々です。もちろんそれぞれの個人の技量がトップクラスであることは疑いようもないですが、そもそも素人で特別知識が豊富なわけでもない私にどこまでプロの小さなこだわりを理解し得るのか。人間的にも信頼出来る彼らに細かいことは任せた方が、良いモノが仕上がると信じてオーダーしています。Fugeeや大江洋服店、ボレロなどについては何かの媒体(雑誌・ホームページ等)を通じて存在を知った方々ですが、結局は“人”で選んでいます。ずっと憧れていたFugeeですが、会いに行った藤井さんがもし「とても冷たく気難しく自分の作品に愛がない」人物だったらいくら素晴らしい作品を作っていたとしても私は買うことはないと思います。実際には、燃え続ける鞄作りへの情熱を作品の解説を通して若輩者の私なんかにも丁寧に教えてくれる素敵な人物だったから、ますます好きになってしまったわけですが。

しかし、時計に関してだけはそういった選び方は難しいものと思っていました。IWCやジャガールクルト、ロレックスの職人さん達とじっくり話して懇意になる機会なんて、いち個人ユーザーの私にはありません。だからこれまでは、単純にモノとしての格好良さを基準に選んできました。

しかし、モノとしての“格好良さ”という基準は時間が経つにつれ自分の中で変化します。その基準で欲しい時計を選んでいては、いつまで経っても時計探しの旅は終わらないことに気付いたのです。いわゆる沼。それも時計の正しい楽しみ方だと思いますし、実際楽しそうだなとも思います。ただ、せっかく30歳の記念で買うならずっと愛でて使うことの出来る時計が欲しい。私の中の変わらない価値観、つまり“人”で選んだ時計が手に入れば一番良いと思っていました。

だから、飛田さんの時計に関しては発表される前、姿形を何も知らない段階で「欲しい」と思っていました。それが、二度目に飛田さんにお会いした時に実際に見せてもらったら時計自体も非常に渋く美しく、「もうこれしかない」と。

そんな話を飛田さんにした時は、是非とも買ってくださいと言われるのかと思いきや「よく考えていただいてからの方が良いです」と冷静なアドバイスをいただきました。まず説明されたのは、極少量生産の時計会社であるNH WATCHを買うことのリスクについて。大手時計メーカーと違い、飛田さん曰く「5年後、10年後も会社が存続しているか全く分からない」という点。飛田さんを含むNH WATCHのメンバーが並々ならぬ努力とこだわりを持って時計作りに当たられていることは、各有名誌やWebで紹介されていますからここでは省きますが、確かに失礼ながら「ロレックスとNH WATCH株式会社のどちらが今後倒産する可能性が高いか」と問われたら、事業規模からしてNH WATCHの方がリスクが高いことは私にも分かります。客観的な資産価値としても、もちろん現時点では有名ブランドのものの方が高いでしょうから、今後時計を売る可能性がある場合は躊躇するポイントになるのかもしれません。

飛田さんの忠告もありよく考えましたが、私はこの時計を「人生のアガリの一本」と捉えており、今後手放すつもりがないこと、そしてたとえ購入してから飛田さんの会社に何かあったとしても、全ては自分で選んだことだから後悔しないということを心に決めました。時計を直す技術のある方々はメーカーでなくともいらっしゃるし、万が一の場合も飛田さんの時計を使い続けることは可能だろうと。現時点ではメンズプレシャスのアワードを獲得されたり、飛ぶ鳥を落とす勢いの飛田さんチームですから、全く心配はしておりませんが。それに、まさしく30代のテーマに掲げた「人を信じる」という行為を象徴するタイムピースに相応しいじゃないかと。「信じる」という単語について色々と調べていたら、「人を信じるということは、相手への期待ではなく、自分への決意なのです。」というフレーズが出てきました。忘れずにいたい、素晴らしい言葉です。

で、心は「買うぞ!」と決まっても、次は妻を説得しなければなりません。飛田さんの時計は、私にとって全然安くない価格です笑 「どうしたら家計の負担を最小限にして購入出来るだろう」と色々と考え、提案書も作りました。それでも、普段しっかり家計を守ってくれている妻に「時計買いたい」と切り出すのは相当勇気がいるもので、言おう言おうと思いながら何日も口に出せずに流れてしまいました。

ある日「今日こそ言わなければ」と固く決めていたところ、妻を前にして尋常じゃないくらい緊張し、また言えず仕舞いか・・・?と思っていたところ「どうしたの?」と妻の方から話を振ってくれて、ようやく相談を持ちかけることが出来ました。妻によれば「何か重大な罪を犯したんじゃないかってくらいの表情してた」と後で言われました笑 結局翌日にちゃんと検討してくれた上での「No」が返ってきたわけですが、その後も提案書内容を考え直しブラッシュアップさせ再三にわたる説得を試み、最終的には「いいよ」と許可を得ることが出来ました。人によっては考えてくれるより前にぶっ飛ばされそうな相談ですが、理解のある妻には本当に感謝しています。

買わせてもらうからには出来る限り他のことで節約しようと、美容院に行くこともやめました。バリカンとスキバサミを買ってきて、妻によるセルフカット。

手先が器用で、小さい頃の将来の夢が「美容師さん」だっただけあり仕上がりは大満足です。10年以上通っていた美容院には申し訳ないですが、昔紹介して律儀に通い続けている後輩に「担当者さんに「あの人は高い時計を買うからもう来れないみたいです」と伝えておいてくれ」と頼んでおきました笑 一年に一回くらい、素人にはどうしようもないくらいバランスが崩れてしまったら整えてもらいに行こうとは思っています。

そんなわけで、いよいよ30歳記念の大型散財が決まりました。これで仕事にもますます打ち込んで、使った分早くペイ出来るように稼がなくっちゃな。次回以降、実際に飛田さんの時計を買う場面についてお伝えしていけたらと思います。

コメント

  1. gohkiti より:

    オボイストさん、おはようございます!いよいよですね!
    4000字を超えるのに引き込まれるように一気に読んでしまいました。
    それだけの熱量があれば投資する価値も、そして購入後に得られる様々な恩恵も大きいはず。
    オボイストさんにそこまで思わせる飛田さんの時計、晴れて腕に回れて満面の笑顔が拝見できるのを楽しみにしてます(^^)

    • oboist より:

      gohkitiさん、コメント、そして長文お読みいただいてありがとうございます♪

      gohkiti先輩に色々相談に乗ってもらえたおかげで、本当に良い記念になるもの選びが出来ました。次にお会いする時には是非お見せ出来ると良いのですが♪ 次回オーダー時の様子について詳しくお伝えいたしますので、楽しみにしていてください!

  2. まるすけ より:

    オボイストさん、こんばんは!

    とても読み応えのある内容で、30歳で何もしなかった私ですが40歳は何か記念に…それこそ時計いいかも…なんて早速影響されています!
    これだけの想いを文章にかけるというのは素晴らしいなあと思いますし、それだけの想いがあるものを見つけてみたいなと感じました。※ぜひ今度お会いした時にでも非公開部分、教えてください!

    gohkitiさんと同じく、楽しみにしていますね◎

    • oboist より:

      まるすけさん、コメントいただきありがとうございます!

      つい熱い思いが溢れて大変読みにくい字ばかりのエントリーになってしまいました(^^; 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

      先日のエントリーにも書きましたが、時計は私にとっての“象徴”でもあります。自分はこんな人間である、もしくはこんな人間になりたい、という物言わぬ自己紹介という位置づけは、自分にとってのファッション全般に対する位置づけと同じです。
      私はこれで、少なくとも定年までは新しい時計は買わない、と妻に誓っていますので終わりましたが、まるすけさんも是非人生最後の一本!という気持ちで極上の時計選びをしてみてください、どんなものをチョイスされるのか非常に気になります^ ^

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