ドスキンプレーントゥダービー by Bolero ②

Shoes

Boleroにお願いしていた4足目のビスポークシューズですが、想定していたよりもだいぶ早く渡辺さんから「完成しました」と連絡が入りましたので早速見せてもらいにいってきました。「取りに行ってきました」と書かないのは、既述の通り今回のドスキンダービーはしばらくボレロアトリエにて展示をしてもらうことになっているからです。それについては最後にご案内します。

前回、Boleroでの初めて取り扱うというチャールズFステッドのdoeskin(鹿革)について、渡邊さんの少々懸念している事項もあるということでしたが、果たしてどんな仕上がりになったのでしょうか。

アトリエに入ると、新しいdoeskinをもう一枚発注して完全に作り直したという完全版が鎮座していました。ん〜またしてもオボレロ史上最高傑作を生み出してしまった。なんだこの完璧なバランス感。

取り寄せた革を見た瞬間「お!今回は当たりだ!」と渡邊さんが言う通り、仮縫い時に使用した革と比べるともっちりとしていてより上質な個体。無色のクリームのみで軽く仕上げることにより、わざとらしくない自然体な鹿革の表情にリッチ感がプラスされています。

生成りのステッチはあえて色を入れずにそのままにしてあり、この靴に関しては基本的に無色のクリームのみで育てていこうと思っています。現代のビスポークなのか古き良き時代のデッドストックなのか、ドレスなのかカジュアルなのか、クラシカルでありながらモードな匂いも・・・色々な範疇を飛び越えて“ただただ良い靴”ということをダイレクトに伝える力のある傑作です。

今回の隠れテーマの一つは「渡邊さんへの挑戦」でした。非常に柔らかい鹿革と、5アイレットの外羽根というデザイン、白いステッチ・・・素直に仕立てればカジュアルな要素しかないオーダーを、渡邊さんがどのように捌きエッジの立った靴に仕立てるのかを見てみたかったのですが・・・恐れ入りました、想像を遥かに上回る靴になってしまいました。こんなに綺麗な靴、誰が見ても「カジュアルなデザインだね」とは思わないでしょう。

写真では伝わりにくいかと思いますが、微かにグレー味のある独特なカラー。この色味を活かすためにもやはり有色クリームの使用は避けたいところ。ダークブラウンというよりトープとも呼べるこの色はもちろん“魔法の色”ですから、合わせるパンツを選ばないはずです。

ソールはダークブラウン。いつからか、靴をオーダーする場合基本的に半カラスなどは選ばなくなりました。潔く真っ黒か真っ白か真っ茶。

シームレスヒールです。前作のレイジーマンが2018年の完成ですが、4年の間に私の足も変化したのか、今回は大幅なラスト修正が入っています。踵はますますフィット感が増し、つま先周りは前作よりも幅を広げてさらに快適に。足が気持ち良いこととデザインの美しさはトレードオフの関係にあるとも言えますが、このアンチノミーにどう対処するかがビスポークシューメーカーの腕の見せ所だと思います。

「フェリージのバッグからインスピレーションを得て、遊びで作った」というホーウィンハッチグレインの展示サンプルと並べてみました。主張のあるデザインのコンビネーションシューズと並べても私の靴は存在感で負けていません。

仮縫いの時点で渡邊さんから「カーフの型押しやスエードに変更しますか?」と聞かれたのですが、初志貫徹でdoeskinを選んで本当に良かったです。これから履き込んでいくとどうなっていくかまだ分かりませんが、現時点では今の私の気分に完全にマッチする最高の選択でした。

今回のシューズバッグはウィンドペーン、ボレロの靴袋はいつもとても素敵な服地が使われており、受け取る際の密かな楽しみなのです。

置き物としても優秀な今回のdoeskinダービーですが、靴ですからもちろん履けます。今は新品の状態ですが、これまでのボレロの履き込んだ靴を振り返ってみる限り、もう少しだけ羽根の開きが閉じてさらに理想的なビジュアルに進化していくはずです。

渡邊さんすごいなあ・・・やはり、ボレロの靴は私の中では断トツです。渡邊さんという男の持つ味が奥の奥まで沁み込んでいる。

私のブログ読者の方で、ボレロの靴を見てみたいという方がアトリエを訪れるきっかけとなるように、しばらくの間この靴はボレロに置いてあります。見にいくだけ、でももちろん大丈夫。ボレロの電話番号かメール宛に「オボイストの靴を見てみたい」と問い合わせいただければ分かるようになっていますので、是非遊びに行ってみてください。

460-0008
愛知県名古屋市中区栄5丁目8-16 2F
Bolero Bespoke Shoe & Bootmaker
052-251-6722

http://bolero-shoemaker.jp/shop-info/

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