2024年総括

THE TRUNK BY OBOIST

今年はブログの更新回数が極端に減ってしまいました、申し訳ありません。THE TRUNK BY OBOISTが始まった大切な2024年について、今一度振り返りと今感じていること、これからのことについて記しておきたいと思います。

「自分の店を構えたい」と思い始めたのがちょうど今から1年ほど前になります。“CRAFTSMANSHIP AND HUMANITY”を掲げてスタートしたTTBOですが、私が想像していた以上にいろんなことに挑戦させていただいた2024年でした。この8ヶ月間で開催してきたイベントは下記の通りです。

5月TTBOSUIT受注会Sewn shoe-makerトランクショーVintagewatch Decoトランクショー時在服飾設計別注HIKARU&TOBARIatelier meisa スカーフ&ブレスレットcrealce TTBOシグネットリング
6月TTBOSUIT受注会NAOYA HIDA & Co.飛田直哉氏トークショーマルヤスTTBOワンピースカラーシャツFumiya Hiranoネクタイ
7月TTBOSUIT受注会KOKONトランクショーペルティコーネトランクショーSHINYAシャツclaude時在服飾設計DAVID
8月TTBOSUIT受注会Khish the Workトランクショー
9月SusieSveltトランクショー
10月TTBOSUIT受注会T.Shirakashi BootmakerトランクショーVintagewatch DecoトランクショーOrigineトランクショーSHINYAニットポロLeleux12homemadeクラウンパントTTBO
11月TTBOSUIT受注会Sewn shoe-makerトランクショー
12月TTBOSUIT相談会時在服飾設計DAVIDデニムVer.Sewn shoe-makerプチトランクショーTTBOカスタマーミーティング

振り返ってみると、兼業とはいえプロとして自分の店を持つに至らなかったら絶対に開催できなかったような内容の濃いものばかりです。通常だったらオープンしたては閑古鳥が鳴く日も少なくないかと思いますが、幸い私の場合は下積みといいますか固定のブログ読者様やSNSフォロワー様がいらっしゃったおかげで、どのイベントもお昼ご飯が食べられないくらい忙しくさせていただきました。支えていただいた皆様には本当に、心の底から感謝しています。いつもありがとうございます。

週5で出勤する一般企業の会社員として働きながら店を経営するというのは、これまた想像していた以上に過酷といいますか、大変でした笑 相当な覚悟を持って臨んだつもりですし、そもそもTTBOは基本的には私が好きなことを仕事にしているので大丈夫ですが、もっと早いタイミングで気軽に手を出さなくて正解だったなと思っています。私はこれからTTBOがどうなろうと会社を辞めるつもりはありませんので、もっともっと大変になっていくことでしょう。

9月以外は毎月開催してきたTTBOSUIT受注会は、TTBOを運営する上では欠かせない屋台骨のような存在です。皆様からも大変好評で、これまでに約70着を作ってきました。私自身も納品待ちを含めると15着を作ってきました(さすがに作り過ぎた)。

トランクショーに来ていただいている職人さんの作品については、基本的に職人さんとお客様の間でコミュニケーションを取っていただき、私はただの“橋渡し役”であり、ただの“ファンの一人”であることが求められます。当たり前のことですが誰かに来ていただく際は、必ず自分用にもオーダーをしてまずは身をもって体感するようにしています。私が感じ取れる商品の良さはもちろんご説明しますし、お手持ちのワードローブとの組み合わせ方などは提案させていただきますが、細かい製法やどのような思想で作られているのかを解説する上では、作り手自身の口で語っていただくことが重要です。

しかし、TTBOSUITだけは少し事情が異なります。いつも正規の出張費をお支払いしてTTBOに来ていただいているaldex工場次長の岩田さんは、スーツが製造される工程についてはもちろん私よりも詳しいですし、間違いなく岩田さんも「スーツを作っている職人の一人」ではありますが「岩田さんが一人で仕立てるスーツ」ではありません。

TTBOSUITは私の理想とするスタイルと着心地を実現するためにaldexと共同開発した特別なモデルです。縫製はaldexにお願いしていますが、生地についてはドーメルジャポンとマルキシの担当者にそれぞれ相談しながら、取捨選択しています。全て英国製であることにはオープン以来変わりありませんが、それぞれの生地の特性を見ながら相応しいものを取り扱いするようにしています。

生地とTTBOSUITの相関性についての理解を深めるために、とにかく色んな生地で自分用にオーダーを繰り返して勉強しました。相当お金がかかりましたが、座学では分からないこともたくさんありますから、必要なことだと思っています。「TTBOSUITについて世界で一番詳しいのは、間違いなく圧倒的に私です」と常に胸を張って言えるようにしておきたいのです。そうでなくては、ただでさえ1年前までちょっと服が好きな素人だった私には、お客様はついてきてくれないでしょう。

aldexとは来年の一周年や秋冬に向けた商品開発が既に始まっています。具体的に言えば、リピートオーダー限定のプレステージラインの設定や、TTBOコートの発表です。コートに関してはTTBOSUIT開発時も陣頭指揮を担ってくれたaldexの小島さんも企画に加わってくれています。型紙が仕上がり次第、シーチングでの仮縫い制作、少し安い生地を使ってサンプル制作、そして当店で取り扱いする予定の英国製コート生地を使ってのサンプル制作とこれから進んでいくはずです。スーツと同じくコートも完全オリジナルで開発しますので、サイズゲージも揃えなくてはなりません。かかるお金のことを考えると頭がクラクラしてきますが、皆様からのご要望も多いTTBOCOAT、良いものが出来るように私も全力で頑張ります。

まだ発表はしていませんが、既に来年についても5月くらいまでは何となくのスケジュールが決まってきています。全く新しい職人のトランクショーもスタートしますし、オリジナルアイテムも新しい取引先と開発を進めています。愛知県の三河安城駅前という、普通なら遠方からわざわざ来るようなところではない立地で戦うには、いかに「TTBOでなければならない理由」を作るかが非常に重要です。他のどこに行っても手に入らないTTBOエクスクルーシブをもっと増やしていかなくてはならないと思っています。

ありがたいことに少しずつではありますがTTBOの存在が認知されてきていて、トランクショーについても私がゼロから新規開拓をしなくても、既にトランクショーを開催してくれた職人さんの紹介などの横のつながりでどんどん新しい話が出てきます。プロの店として開催する以上「来るもの拒まず」とはいきませんが、お会いしてみて私が実際に体験してみて、良いなと思えたものに関してはこれからも積極的に紹介していきたいと思います。

これは私が憧れる人のひとり、Foggy&Sunnyの中川さんのやり方を参考にしている部分でもありますが、トランクショーは出来る限り二人以上の職人を掛け合わせて開催するようにしています。どちらか一方を目的にご来店されたお客様にあわせてご提案していきたいという面と、職人同士で交流を深めていただいて良い影響を与え合ってほしいという面とで、大きく分けて2つの目的があります。実際に当店でのトランクショーをきっかけに友人のように付き合っている職人たちもいらっしゃいます。お客様からもこのシステムは高い評価をいただいており、予算との折り合いをつけるために真剣に悩まれる姿を度々目にしてきました。それは私も同じことです、トランクショーは自分の好きなものが勢ぞろいしますから、結局皆さんが買ってくれた売り上げで自分用におかわりオーダーをすることもしばしば…笑 元々お金持ちになりたくて始めたことではなく、出た利益は全て職人に還元するくらいの気持ちでおりますから、計画通りといえば計通りです。

トランクショー以外の日に遊びに来てくれる常連のお客様にも、随分と助けられました。自分で全てを決めて、自分で全責任を負うのが会社員との大きな違いですが、私自身はそんなに特別優れた人間でもありませんので、色々と相談に乗ってくれる友人のようなお客様の存在は非常に大きかったです。安定を求めてつい守りに入ってしまいそうなときも「それは面白くないよ」とはっきり言ってくれる友人が周りにいるという環境がどれだけ恵まれていることか。TTBOをもっと良い店にしていくためにも、これからもお力添を賜れますと幸いです。

それから、ずっと仕事ばかりしている私を支えながらも自由にさせてくれる妻には、いつも感謝しています。TTBOを始めてから休みらしい休みはほとんど無くなりました。基本いつも疲れてくたばっているので、家では使い物にならないダメ夫ですが、私の気分をうまくコントロールしてくれる妻のおかげで私は何とかメンタルを保てているのかもしれません。これからも二人で仲良く暮らしていけるように、今はとにかく歯を食いしばって仕事を頑張ろうと思います。

取り留めもない話をずらずらと書き綴ってしまいましたが、とにかく来年も、TTBOへ来てくれるお客様と職人たちに喜んでもらえるように、力を尽くしたいと思います。年末にTTBOでのイベントを控えておりますが、おそらく今年のブログ更新はこれが最後になると思います。読者の皆様も良いお年をお迎えください。そしてまだTTBOへいらしたことのない読者様、ご興味のあるイベントがありましたら是非一度遊びに来てみてください。私と一緒にオーダーしましょう。ご来店お待ちしております。

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