前回訪問時からちょうど二週間、スージースベルトの鈴木さんから「お見積もりができました」との連絡をいただきましたので、早速アトリエへお伺いしてきました。アトリエ内には鈴木さんの奥様、そしてお子様もいらっしゃって、閉店間際に訪問してしまったことをまずお詫びしました。
幸い、「この後の予定は無いので大丈夫です」と言っていただいたので、じっくりと打ち合わせすることができました。
この二週間、色々と悩んだりもしましたが、私の中では基本的にはスージースベルトさんにお願いをしようという気にはなっていました。ただ、どうしても昔からの憧れを抱いていたエルメス、そしてFugeeさんへの想いも胸の奥底でわずかにくすぶっていて。
きっとバッグに関してはビスポークで作るのはこれが最初で最後になろうかと思います。靴と違ってそんなにいくつもあっても仕方がないですし、私にはルボナーのマエストロやチェレリーニもあります。普段の仕事用にはグローブトロッターの18インチスリムアタッシェを個人輸入し使っていますし、足りないとすればスリムなブリーフケースの枠のみになります。
鈴木さんには私の理想の形・素材・仕様はもちろんですが、エルメスやFugeeに対しての憧れについても正直にお話をしました。もちろん鈴木さんも同業他社のことは私などよりもずっと詳しく知っていて、FugeeやOrtus、ルボナーやT・MBHなどのお話をじっくりさせていただきました。
自身の持つ技術についての静かな、それでいて確固たる自信。出来ること・出来ないことについても正直に丁寧に説明してくださる人柄にも惹かれました。以前妻に財布をオーダーするときにも非常に良くしていただいたこともあり、
「この人に託してみたい」
という思いがふつふつと。それは、私の中に残っていた“憧れ”を屈服させるのに十分な“信頼”でした。
鈴木さんも私の気持ちを汲んでくれて、「(私オボイストが)コストダウンできる箇所も一切されないあたり、これは中途半端な気持ちでは臨めないと感じました。手縫いのフルオーダーバッグについては正直久しぶりですが、全力投球でお作りします。元々私は手縫いでバッグを作ることが好きですから、後悔させないものを作ります。」とお約束してくれました。
こうして私は、スージースベルトさんにバッグをオーダーすることを決めました。細かい仕様についても私が質問することに対して非常に丁寧に答えてくれて、非常に安心してオーダーすることができました。
商品の体系を考えて、現在スージースベルトさんではビスポークバッグの製作については基本的にはお断りをしているそうです。その辺りは神戸のルボナーさんと似た理由なのかもしれません。無理を言ってしまいましたが私のオーダーを受け入れてくれて、本当に感謝しています。元々は妻へ財布をプレゼントする際にボレロの渡邊さんからご紹介いただいた鈴木さん、縁の連鎖がなければこのような無理は利かなかったかもしれないと思うと、感慨深いものがあります。
納期は約半年ということでしたが、状況によっては1年弱かかることも。Fugeeさんでは現在6,7年待ちだそうですから、それと比べればあっという間です。納期については急がないので、とにかく最高のバッグを作って欲しいと念押しをして、アトリエを後にしたのでした。
バッグの細かい仕様につきましては、次のエントリーでご紹介いたします。
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