ブログエントリーのカテゴリーに新たに「本」という項目を追加しました。
日本人の平均読書量は年間で12,3冊だそうです。私は「趣味が読書」と言えるほど本を読んでいるかは分かりませんしペースにも波がありますが、月に2〜5冊くらいの小説を読みます。
大抵、中学生の頃から行きつけの地元の本屋で、最初の数十ページを立ち読みし、自分の肌に合うかどうかを見定めながら大抵1回の訪問で一冊、購入します。懐が潤っている時期は二冊同時に購入することも稀にありますが、選定の際の集中力が鈍るのか、一冊目に取り掛かっても早く次の本を読みたくなって気が散るのか、よく分かりませんが途中で頓挫する確率が上がるような気がして、基本的に一冊のみとルールを決めています。それでも、立ち読みしていた時は面白そうだと思ったのに途中で読む気力がなくなるようなことも10〜15%くらいの割合で訪れますが。(読書に対する自分の熱量以外に、選定段階で自分との相性を見極められなかったことも原因としてある。)
月のお小遣いが3,000円くらいだった中学生時代、何故か母は本を買ったお金だけは別枠で渡してくれていた。時々週に3冊以上も買って読んでしまうときには「古本でもいいのに〜」なんて言いながらも基本的には好きなだけ読ませてくれました。その影響なのでしょう、私は本を買うという行為に対してだけは一切の気後れもなくお金を使うことが出来ます。本から得た知識も多いですから、今となっては感謝しています。
実家暮らしの時は自室の本棚から気に入った本、気に入った場面、センテンスを何度も読んだりもしましたが、結婚してから本棚らしい本棚もなく読みっぱなしになってしまっていました。読んだ小説について、こちらのブログで紹介することで自分自身の備忘録としたいと思います。「本を紹介する」というのはなかなか難しいものですから上手く書けるか分かりませんが、お付き合いください。
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伊岡 瞬『本性』
本性 | |
クリエーター情報なし | |
KADOKAWA |
発売日:2018年06月29日
形態:単行本
ページ数:432
オススメ度★★★☆☆
伊岡氏の本はこれで二冊目。一冊目は有名な『代償』で、3,4年前にいつも通り立ち読みし買ってみたら、救いのない展開にただひたすら胸糞悪い本だったのですが、『本性』もやっぱり30ページほど読んで続きが気になり買ってしまった。読み終わった後で調べてみたら、やはり筆者は序盤のスピード感のある展開を意識しているようで、まんまとハマってしまいました。
章ごとに一見関係のないと思える男女が入れ替わり物語の主体となるが、「サトウミサキ」という正体不明の美女と関わりを持つことでそれぞれの日常が徐々に壊れていきます。一方、事故と思われた焼死体について調べていた刑事が、裏に女性の影があることに気付き、わずかな手がかりを追っていくと前述の男女にはある共通の過去が・・・というような、サスペンス小説です。
中盤までは謎の美女・サトウミサキの不気味な行動が興味深く、この張り巡らされた伏線の裏には一体どんな動機が・・・とテンポよく読み進めましたが、読了後は「まぁ、やっぱりそんなところだよね」と案外サスペンスものではありきたりな展開でした。
とはいえ、過去に共通のある罪を犯したそれぞれの登場人物がサトウミサキによって狂わされていく様はなかなか読み応えがあり、キャラクターの立った人物描写も見事でした。点と点が線で繋がっていく感覚も気持ち良い。ラストはもしかしたら続編もある?との噂もありますが、個人的には後味の悪いこの感じが伊岡瞬らしく、その先は各々の読者が好きに想像すればいいと思っています。これを機に『代償』ももう一回読み直そうかな。(実は文庫化された際に過去に単行本を読んだと気付かずに二度買った本でもある)
ネタバレしてもいけないし難しいですが、ひとまずこのくらいサラッと紹介していこうと思います。次回は『盤上の向日葵』、読み終わり次第まとめていきたいと思います。
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