今年の妻の誕生日がバッグであることは本人に伝えてあるので堂々とブログにその経過を書くことが出来ます。SusieSveltに依頼してあるバッグのレザーモックが仕上がったということで、妻と一緒に早速アトリエへお邪魔してきました。
妻からは鈴木さんに「横から見たときに完全な二等辺三角形が現れる紙袋みたいな形なんだけどカチッとした革のバッグ」をお願いしていました。このイメージは昨年10月のSewn×RENDO受注会時に妻から直接伝えたものですが、偶然か必然か、鈴木さんの頭の中にはもっと前から近い形のバッグ像が存在していたようです。
表面からサイドにかけては一枚のパーツでひと続きになっていますが、この景色が普通ではまずあり得ません。これでは“横から見たときに完全な二等辺三角形が現れる”という点はクリア出来ますが、収納物の出し入れが非常にやりづらくなってしまいます。鈴木さんはこれを、フロントにファスナーを取り付けるという実用的かつスタイリッシュなデザインが生まれる天才的発想で解決してくれました。
ファスナーがあることで収納物は容易に取り出すことが出来、かつファスナーを閉めることでサイドの二等辺三角形が保持されます。こんな構造の鞄は初めて見ました。持ち手には金属のプレートが仕込んでありグリップするととても安心感のある握り心地です。
底は手縫いならではのコマ縫いで仕立てられていました。底鋲などは取り付けず削ぎ落とされたシンプルなデザイン。小さなバッグですが底面はそれなりに広いので、試しに私のカメラRX1RM2を入れてみたところ問題なく入りました。「カメラが入るけど小さくて格好いいバッグ」を恒久的に探し続けている私は、市販品で良いと思えるものがなくもう10年黒いポーターを使っていますが(これはこれでとても気に入っています)、この時点で私は自分用にも同じモデルをオーダーするか、妻のバッグを時々貸してもらうかの二択が頭に浮かびました。もっとも後者は本人によってすぐさま明確に否定されたためセルフオーダーが不可避となりました。
この鞄、実は木型を使って作られているそうです。EDOさんきっかけで私も交流のあるリー・オリヴァーさんに依頼し、このバッグ専用に製作された木型です。
本番用の革は鈴木さんからデュプイのボックスカーフ、国内タンナーのボックスカーフ(これめっちゃ良かった)、そしてベルギーマシュアサドルプルアップの3つが提案されました。元々かたくてハリのあるバッグを欲していた妻はほとんど瞬間的にサドルプルアップを選択。
ファスナー、ステッチについては少し悩みました。サンプルで使われていたブラックのファスナーが革とマッチしてとても良かったのですが、最終的には「ステッチをブラックにする代わりにファスナーはアンティークシルバーで少しアクセントに」と選び終わったところでオーダー完了。あとは鈴木さんに任せておけば間違いないです、なんてったってこのモックを見るだけで鈴木さんが天才鞄職人であることは誰の目にも明らかですから。
完成予定は妻の誕生日当日。歴史的名作誕生まで、あと少しです。
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