SusieSvelt×Oboist ①

Leather goods

完成したあのバッグを見たときの感動を、私は今も忘れることが出来ません。

完成したのは今からたった2年前。もう遥か遠い昔のような気がしてしまいます。スージースヴェルトのビスポークブリーフケース。当時の私が考え得る贅を尽くし、そしてスージースヴェルトの持てる業を全て注ぎ込んだ、私たちの傑作。

こういう書き方をすると誤解があるかもしれませんが、もしかしたらこれまでオーダーしたものの中で最も気に入っていたものかもしれません。足にぴったり合った靴も、身体に沿うスーツもシャツも経験してきましたが、使用する際に自分の身体と接する面積が最も小さいバッグのビスポークが、こんなにも感動を生むものとは思いもしませんでした。

しかし、以前ブログにも書きましたように、もうこのバッグは私の手元にはありません。電車内で盗難に遭ってしまったのです。ひとえに、私の不注意が原因です。ショックで何日か眠ることが出来ず、嗚咽が出るほど泣きました笑 もし盗んだ人物がこのブログを読んでいて、まだ手元にあるのだとしたら、今すぐに返してもらいたい。一発くらい殴るかもしれませんが、返ってきてくれさえすればそれで良い。ただ、現実的に考えればもうあのバッグに再び触れることは出来ないでしょう。

失意のどん底に墜ちた私は当時、鈴木さんに合わせる顔がありませんでした。どれだけ一生懸命作ってくれたバッグかを知っていたからこそ、とても「失くした」なんて言えませんでした。ちゃんと謝罪しなければ・・・と悩みながら、東京で開催されたブロガーズ会でお会いするgohkitiさんにビスポークシューズを運ぶべく訪れたボレロのアトリエで、私は鈴木さんより先に渡邊さんにバッグが盗られてしまったことを懺悔しました。渡邊さんと鈴木さんは昔から交流があり、渡邊さんは精神状態がボロボロの私のサマを見て鈴木さんに「実はオボイストさんが・・・」とこっそり伝えておいてくれました。思い出をたくさん詰め込んだバッグを失くして失意のどん底にいる私を救ってくれたのが、渡邊さんが私にかけてくれた言葉でした。

「どこまで行っても、“たかがモノ”、本当に大切なことを見失わないように。」と諭してくれたのです。この言葉の真意について語っていると本題に辿り着けませんので省きますが、それから私は前を見て進むことが出来るようになりました。鈴木さんにも、直接謝りました。当時はまだ事件から一ヶ月も経過していなかったので、まだ出てくる可能性はあるという点に触れた上で「いつかあのバッグを超える作品を、また作りますよ」と言ってくれました。

時は流れ、心の傷が完全に癒えたわけではありませんが(未だに一人で電車に乗るのが苦手でドキドキしてしまい、手荷物を抱くように持つようにしている)、いよいよスージースヴェルトと次なるバッグのプロジェクトを始めることにしました。それも、私だけのオーダーバッグではなく、『Susiesvelt×Oboist』として。

Sewn shoe-makerとのコラボレーションで得た経験を活かし、次なるブログコラボレーションアイテムの発売を目指します。詳細はまだ未定ですが、とにかくバッグです。それも、鈴木さんが全身全霊で挑んでくれたあのバッグを彷彿とさせる、ラウンドボトムのブリーフケース。

Instagramでフォロワー向けに実施したアンケートによると、靴をオーダーした経験のある方でもバッグをオーダーしたことがあるのはわずか2割ほど。それも、この2割には、シロさんやしちょさん、大塚さん、そして最近知り合ったMAXさんなどのツワモノが入っていますので、もっと対象人数を広げればバッグオーダーの経験がある方はもしかしたら1割以下になるのではないか?と思っています。今回のSusiesvelt×Oboistはいくつかの選択肢を準備したパターンオーダーの形を取ろうと思っておりますが、一人でも多くの方にオーダーバッグの素晴らしさを感じてもらうきっかけになれば幸いです。鈴木さんも、私と同じ思いでいてくれています。バッグの仕様、発売時期、価格など全てこれから決めていくところです。Sewnとのオボイストモデルと同じく、実際に発売に漕ぎ着けるまでの詳細を逐一このブログでご紹介して参りたいと思います。是非、楽しみにしていてください。素晴らしいバッグをもう一度、スージースヴェルトと作ってみせます。

コメント

  1. そろそろ より:

    ちゃくちゃくと愛知のオーダーメイド界の裏ボスみたいになってますね。
    それにしても、心踊る展開。
    続報を楽しみにしています。

    • oboist より:

      そろそろさん、コメントありがとうございます(^^) 朝から笑わせてもらいました)^o^(

      じっくり取り組んで良い鞄出します。隆太さんにロゴ仕様の許可もいただきました。(Sewn shoe-makerのところはもちろんsusiesveltにして新たに金型をつくります)
      今回もスーパーバイザーとしてアドバイスをよろしくお願いします!

  2. アンソニー より:

    オボイストさん
    こんばんは!まさか盗難に遭われていたとは(T_T)
    割と熱心なオボイストさんのファン・ブログ読者ですが、盗難の件は知りませんでした!悲しいですが本当に最低な人がいるものですね。。。

    逆にその件が無ければ今回のコラボはなかったのでしょうか?!
    オボイストさんの革への知識、拘りがもの凄いので、今回もそこに注目して楽しく拝見させて頂きます!!^_^

    • oboist より:

      アンソニーさん、いつもありがとうございます(^^)
      はい、あまり詳しくはブログに書いておりませんでしたが実は…苦笑 辛い経験でしたが、確かに事件がなければこのコラボは生まれなかったはずです。悔しい気持ちを今回のコラボにぶつけて、再び手にした人が感動するバッグをスージースヴェルトと協力して作りたいと思います。
      今回のコラボでは名より実を取り、いろんな革の中から最も良いと感じた、無名のタンナーの革を使います。質感はヨーロッパレザーにも負けないものを、出来る限り手の届く価格でオーダーいただけるようにするつもりです^ ^ お楽しみに♩

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