SusieSveltとApple

Diary

この日もSusieSveltの鈴木さんにお会いする約束をしていました。グリーンのバッグに合わせて、ブラッドストーンのシグネットリングと、Susie製でグリーンのステッチが手縫いされたストラップのチェリーニを着けていきました。気に入ったものを纏うと仕事の疲れも吹き飛びます。

まずはアトリエにお伺いし、到着したというAppleのAir Tagを受け取り。共同購入をご希望されたお客様分とSusie自身の分を合わせて8個をまとめて。全ての方が刻印を入れて発注されました。

私はSusieSvelt×OboistのS&Oと、シリアルナンバー000にちなんで⓪の刻印を入れました。これで安心して出歩くことが出来ます、以前と同じような悲劇が二度と繰り返されぬように。

鈴木さんは実はAppleに対して並々ならぬ思い入れを持っている人物です。今回は、スティーブ・ジョブズと誕生日が同じ鈴木さんとAppleについて、少々長くなりますが細かく触れていきたいと思います。

鈴木さんが中学生の頃、美術関係者がこぞってMacを使っているのを見て「コンピューターを買うならMacだ」と思っていたようです。

そもそも、鈴木さんが自らの手で芸術品を生み出すことに喜びを感じるようになった最初のきっかけは小学生の頃だと言います。授業で作った版画の作品が当時担任であった図工の先生に認められ、日誌の表紙を飾ることに。この成功体験が鈴木さんにとっては大きなものとなり、以降画家や美容師などアート・美的センスが問われる職種に憧れを抱くようになります。実際鈴木さんは高校の頃からご自身の髪はセルフカットされており、学生時代は同級生の女の子たちが自宅に鈴木カットをお願いしにくるほどだったと。

1998年、初代iMacが発売された時、青年時代の鈴木さんはそのデザイン性の高さに衝撃を受けます。iMac登場以前は無機質な味気ない箱でしかなかったパソコンが、まるでキャンディのようなボンダイブルーで登場し、一目で欲しいと思ったそうです。しかしまだ自分で買うことは出来ず、悶々とした日々を送ります。

そして、高校時代に仲良くしていた後輩とお付き合いをすることとなり(現在の奥さま)、初めて彼女の家に行った時、なんとそこには夢見ていた2代目iMacが置いてあるではありませんか。25歳前後で既に革職人として生きていこうと決めていた鈴木さんは、彼女のiMacにPhotoshopやillustratorをインストールし、家に通っては製図をしていく日々が続いていきます。さらには、奥さんが持っていながら使っていなかったというグッチやルイヴィトンなどのバッグ・革小物を「これ、解体していい?」と次々とバラしてはその構造・作りについて独学で勉強していったそうです。

鈴木さんは鞄作りも、PCの使い方についてもほとんど独学。革製品の製作を勉強するのと同じかそれ以上の時間を費やし、Illustratorなどを使いこなすための勉強をされたと言います。現在でも鈴木さんは、アトリエのMac G5のIllustratorで製図をしています。正確性を求めるとどうしても手書きではIllustratorに敵わないそうです。

ちなみにオボイストブリーフケースを私に納品する前日、お参りしに京都へ行ったそうなのですが、たまたま入ったカフェに当時奥さまが使っていたのと同じストロベリーカラーのiMacがオブジェとして飾られていたそうです。

2001年、Appleから発売された世紀の大発明・iPodは、誕生日に奥さんに買ってもらったそうです。鈴木さんは仕事選びの条件として最も大きなことの一つに「好きな音楽を聴きながら仕事出来ること」というものを挙げておられました。その条件を叶えてくれるiPod、プレゼントしてもらったその日は奥さまと出かけていて、なんと寄り道した際奥さんが持っていたiPodを置き忘れてしまったそうです。結局見つけることは出来ずすぐに買い直ししたそうですが、今回のAir Tagポケットを作っている時にふと懐かしく思い出されたと言います。今でもよくモノを失くすことが多い鈴木さんは、Air Tagの公式プロモーションムービーを見て「これはまさに自分の頭の中そのものだ」と感じたそうで、今回のブリーフケースにも意地でも対応させたかったと。私が前作ビスポークバッグを失くした経験だけではなく、鈴木さん自身の経験も関係しているとは初耳でした。

他にもいろいろと、北海道の日下公司さんをはじめとした日本の各革職人さんたちとのご関係や(日下さんもApple信者らしい)、奥さまと共同で革小物作りを進める想いなど、色々と聞かせてもらいました。次回はそんな鈴木さんがMaruyasuでシャツをオーダーされた様子を紹介していきたいと思います。

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