さて後半。MTOにご興味があるという読者様もいらっしゃったので、吉本さんにMTOラインのサンプルもご準備いただきました。デザインや革は限られますが、10分仕立てで全て吉本さんの手で作られるMTOは非常にお得感があります。
3人目のお客様は私も長くお付き合いさせてもらっている方で、オボイストモデルやオボイストシャツもお持ちのKさん。仕事柄訪問先での脱ぎ履きも多いという彼は、ほとんど迷うことなくレイジーマンをチョイス。
Kさんも悩んでいたのは革。選択肢が豊富すぎて迷っちゃうんですよね。通常のカーフでとほぼ決まりかけたのですが、サンプルシューズに使われていたチンギアーレの素材感に惚れ込み最終的にはこの革で。ダークブラウンはストックが無いので、ミディアムブラウンを選択されていました。
お客様が迷われていてもJunさんの豊富な経験値が助けてくれるのが今回のトランクショーの醍醐味。色味や素材について、Junさんのアドバイスをじっくり聞いている方も。写真を撮ることくらいしか出来ない私も今回たくさん勉強させていただきました。
最後の枠でお越しのお客様は、なんと全身私と関連のあるアイテムで着てくれました。ジャケットは私も全く同じものを持っているSHINYAです。
最初にSewnでオボイストモデルを出したときに、2足同時に色違いでオーダーされたお客様がいらっしゃると隆太さんに聞いてびっくりしていたのですが、それがこちらのKさん。メールでやり取りしていてもいつも非常に丁寧で、安井さんに聞いても西村さんに聞いても「とっても良い人」と口を揃えて言うので一度会ってみたかったのですが、ようやくお目にかかれました。ライトベージュのオボイストシャツにウィンドペーンのオボイストトラウザーズ、優しい雰囲気のKさんに大変お似合いでした。
「お子様と遊んで傷ついたり汚れたりしても手入れが楽な素材」をご所望のKさんも、なんと私と同じくバタフライローファーに決め打ちしてきたのに、いざサンプルを見てワンピースサドルローファーに一目惚れしたクチ。そもそもの趣味がとても近いのかもしれません。色味も私と同じくライトブラウンを選ばれましたが、唯一異なったのは素材をチンギアーレにされたこと。コンセプトにぴったりな革ですね♪
サンプルがコンビであること、そしてJunさんのコインローファーもコンビだったこともあり、私と同じくKさんもコンビでご検討。悩んでいるKさんにふと私が「甲をスエードにするのは?」と提案してみると、Junさんも吉本さんも「スエード良いね!」と。
Kさんはセオリー通り、ワントーン明るいスエードを甲に持ってくることに決定・・・したのは良いのですが、あろうことかさっきオーダー内容を決めたはずの私までスエードにしたくなってしまって^^; 吉本さんに急遽変更していただくことに。
私はスエードのトーンをなるべくwoodカラーのキャメルに近づけたかったのでこの組み合わせに。色味も形もKさんが頼まれたものと似ていますが、果たしてチンギアーレとキャメルレザーで雰囲気にどのような差が出てくるのか、今から楽しみで仕方がありません。一人でオーダーするよりも二倍も三倍も楽しめるトランクショーの主催側、たまりませんね♪
「見てると自分も欲しくなっちゃうな・・・」とJunさんも革見本を真剣な眼差しで手に取っていました。一足目から難易度の高いコンビローファーをアンライニングで頼まれたJunさんが、次にどんなモデルを頼まれるのか。次回トランクショーを期待しましょう。
ワンポイントにハッピーソックスを履かれたKさんも採寸。「シールどこに貼ったか分からないですね」と吉本さんも笑顔です。隣で静かに待つオボイストモデルがなんだか可愛いです。
職人の吉本さんの説明は本当に細やかで丁寧。素材のメリットやデメリットを分かりやすく案内してくれて、言葉の節々にまでジェントルマンシップが行き渡っていて、ファンが多いのも頷けます。「この人になら安心して任せられる」と心から思える人間性の持ち主でした。
あっという間に予定のお客様のオーダーが全数完了。オーダーの様子を見ているときはこちらも興奮していてあまり気が付かなかったのですが、終わってみて緊張が解けると少し疲れが。私とJunさんが休憩している間、慣れた手つきで吉本さんが撤収作業を。5月初旬にローマに帰るまで休みなくオーダー会の予定が入っているということですから、吉本さんの体力恐るべし・・・。
オーダー会後はすぐ隣のゲートタワーのレストランで打ち上げ。駅にもタカシマヤにも直結なので、大きな荷物を持って移動しなければならないトランクショーにマリオットは最適ですね。事前に予約しておいた中華のコースを個室でゆっくり楽しみました。
イタリア人は食事の時間を特に大事にするようで、みんな忙しい毎日の中でも必ず誘い合って朝食やランチに友人と出かけるそうです。大変な人気でオーダー頂いた靴を作るために吉本さんも普段は引きこもって作業しっぱなしだそうですが「イタリアは孤独を感じることがないから、その点には救われたかもしれません」と話されていました。
黒酢の酢豚、ニラ饅頭、スープ、冷やし坦々麺・・・前菜からシメまでどれも最高。ここは是非リピートしたいな。次に吉本さんを招くまでにまた別の美味しいレストランを探しておかなくっちゃ。
というわけで、私にとって初めてとなるトランクショーの主催という大仕事も無事終了しました。「オーダーいただいたお客様を笑顔に出来るよう努めます」と吉本さんからもメッセージが届きました。仮縫いは約10ヶ月後ということですが、その際もまたマリオットで新規の受付枠を少数設けることが出来ると思います。今回ご都合が合わなくて断念された方も、是非楽しみにお待ちいただければと。読者の方により楽しんでもらえるような企画を私も頑張って考えていきますね♪
コメント