今、カラトラバを選ぶということ①

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時計について思わせぶりな投稿をしましたが、ついに着地いたしましたのでご報告です。先月末ブログの記事に検討しているようなことを書いたところですので即断したかのように思えますが、実際にはかなり長い間どんな時計が良いのかを考え続けていました。正式なお迎えまで少し時間がありますので、今回は私が比較検討対象としてどんなものをピックアップしていたのかをご紹介いたします。

私にとって時計とは? 2023
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今、チェリーニを選ぶということ
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①Naoya Hida TYPE4A-1

30歳記念にTYPE1Cを購入してからすっかりファンになった私が次なる一手を考える上で、飛田さんの時計シリーズを対象外と出来るわけがありませんでした。中でも東京のオフィス探訪の際に拝見した最新作のTYPE4A-1は、私が飛田さんと出会った頃から探し続けている念願の黒(ダークグレー)文字盤。36mmケースによって驚くほどTYPE1Cとは印象が変わり、完成度は率直に申し上げて検討中に実際に見たモデルの中ではずば抜けていました。

「これで本当に人生最後の時計購入にする」と決められるならこれを買っていたかもしれませんが、そもそも私はTYPE1Cで時計は終わりにするはずだった人間です。しかし実際にはTYPE1Cが魔界の扉を開く鍵となり、そちらの世界に住む魔物たち(誉め言葉)との交流、および私の人生観の変化によって最後の一本にはならなかった経緯が現実として立ちはだかります。今回は前提としてそもそもチェリーニを手放した1枠を埋める時計を探しているわけですが、仮に4A-1を幸運にも抽選に当たって手に入れられたとしたら、今後の人生においてまた新しい時計を買う場合は“代替”ではなく“増枠”するしかなくなってきます。それはなぜか?言うまでもなく倫理的問題が発生するからです。

Naoya Hidaの時計は今や世界中に購入希望者が溢れかえっており、数多くの方が購入申し込みをしても落選してしまっているような状況です。とてつもない手間暇をかけて作られる飛田さんの時計は生産数も限られており、人気が高まれば高まるほど落選する数も多くなっていきます。海外のサイトでTYPE1Bが売りに出されているのを過去に2回見ました。1回目はマークチョーさんのもの、2回目は別の方のものでしたが、落札額は定価の約2~3倍だったかと思います。リセールバリューは抜群ですが、そもそも私は飛田さんの時計についてはどんなに儲かろうと一生手放す気にはなれないと思います。

となると、33歳になろうとしている今の時点では、最短距離ではなく迂回ルートで時計の旅を楽しみたい気分なんですよね。名作と呼ばれている時計たちをいくつか体感したあとでも、答えであるNaoya Hidaの作品に戻るのは遅くないと考えました。

②ポールゲルバーレトロセコンド(林時計舗オリジナルモデル)

時計好きのナオキさんのご紹介で三重県津市にある老舗時計店・林時計舗までわざわざ見に伺ったのはこちら。ドイツの独立時計師ポールゲルバーが手掛ける金無垢薄型手巻き時計・レトロセコンドです。その名の通りレトログラード機構を備えるポールゲルバーの名作ですが、林時計舗で取り扱いされているレトロセコンドは、通常自動巻きモデルのレトロツインで採用されるギヨシェ彫り文字盤に変更されています。

これは世界広しといえども林時計舗さんでしか買えないモデルです。私の場合すっかり手巻きになれてしまって、自動巻きの機能自体は必要ないと感じている(クロノトウキョウ34mmも機械の調子が悪いのか自動で巻いてくれないので結局手巻きとして使っている)ので、むしろ自動巻き用の厚みのあるケースになるくらいなら薄型ケースで好みのギヨシェ文字盤が拝めるとなれば一石二鳥です。

で、実際に時計を見た感想。36mmの薄型のゴールドケース、美しさの中に可愛らしさも感じられるデザイン、希少性・・・どれをとっても欠点は見つかりませんでした。一旦はこれに決まりかけたのですが、持ち帰って検討を進めるうちに「TYPE1Cの時に感じたほどの魅力を本当に感じているのか?」という素朴な疑問が浮かび上がってきました。ここに力強くYESと答えられないのであれば、いずれまた代替することになるだろうと思いますが、そうするにはポールゲルバーの市場価値はあまりにも低すぎました。

ポールゲルバー氏自体は時計の歴史に名を刻むような素晴らしい時計師であるはずですし、クラシックなデザインの範疇に収まっているはずのレトロセコンドは、なぜか全然人気がないのですよね。私自身、すごく良いなとは思いながらもここぞの1本には結果的には選ばなかったわけですから、何か理由があるのかもしれませんが・・・少なくとも私には何故人気がないのかは分かりませんでした。本当にオススメの時計ではありますから、このブログを見て気になった方はすぐに林時計舗さんに連絡をした方が良いと思います。ポールゲルバーさんは年齢的にも既にセミリタイヤされており、林時計舗オリジナル文字盤のレトロセコンドについては私が店頭に伺った時点で入荷した3本が最後になるかもとのことでしたので、詳しい話が聞きたい方はDM等いただければ分かる範囲でお答えいたします。

③KIKUCHI NAKAGAWA MURAKUMO

ムラクモについて初めて知ったのはTYPE1Cをオーダーした頃だったかと思います。飛田さんと同じマイクロウォッチメーカーに区分されるキクチナカガワは、その名の通り菊池さんと中川さんのお二人で成り立っているブランドです。菊池さんとはSNSで私も交流があり、黒い文字盤の時計が欲しい私としては理想的な時計のひとつであることは疑いようもないのですが、問題は納期があまりにも長いこと。今頼んで納品されるのが120か月後、つまり10年後ということですから驚きです。10年後も欲しい可能性はありますが、その場合は①で触れた飛田さんの時計と同じく、今回手に入れる時計と入れ替えでも良いのかなと。まあもちろん、その頃には納期が20年とかになってる可能性もありますから一生手に入らないかもしれませんが(^^; 時計自体の魅力とは関係のないポイントですが、ムラクモについてはSNSで繋がっている方がお一人お持ちなのと、まだ決まっているわけではないと思いますが某Yさんがキクチナカガワの時計を検討されていて、実際に東京で展示会されている際に見に行かれていましたので、私の周りに既にユーザーがいるという点は天邪鬼な私にとっては若干のマイナスポイントではあります・・・笑 まだ私は実物も見たことがないので、是非一度見せていただきたい時計の筆頭です。

この投稿を見てすぐYさんに連絡しました。
実物が見られる機会は貴重なので羨ましい。

④パテックフィリップ5026G

最後まで悩んだのがパテックフィリップの5026Gです。33mmケースの端正な黒い文字盤の時計は、見るからにムラクモ味があり、好みとしてはど真ん中。パテックフィリップはつい最近も正規価格の改定があり手の届かない存在になりつつありますが、中古市場もそれは同じで数年前と比べると全体的にかなり価格が上がってきています。ヴィンテージの時計ですから良い個体との出会いがあればと思って探していましたが、銀座の店で一度出てきた個体は私が東京へ行く時間を作れない間に売り切れてしまいました。同じデザインでYGケースの5026Jについても同様に検討していましたが、結果的に今回最後に選んだ時計のデザインにより強く魅力を感じ購入には至りませんでした。

以上の4つが今回の時計選びの最終選考に残っていた面々です。お金と時計を使いこなす度量とがあれば全部ほしいくらいですが、そんな贅沢は身不相応ですし、私にとって時計は本数が多いと困るものなのでとにかく厳選に厳選を重ねました。実際はここに載せていない時計でも、例えばダニエルロートであったり、マサズパスタイムのカスタムウォッチであったりとかなり幅広く情報を集めて出した結論です。次回、納品完了後に新たに迎え入れた時計について詳しくご紹介していきます。

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