うーん、何から話せばいいのか・・・今、東京出張の23時過ぎなのですが、素晴らしい一夜を過ごして興奮が冷めやらないので、この勢いのままブログに残しておこうと思います。

TTBOを始めてから、何人ものお客様から「結婚式のためにスーツをオーダーしたい」というリクエストがありました。ずっと通常のTTBO SUITに少し華やかな生地などを選んで提案してきたのですが「そろそろタキシードを作りたいね」とaldexの岩田さんなどと打ち合わせして、オリジナルのピークドラペルモデルを開発しました。すでにオーダーいただいているお客様はいるのですが、まだ完成品は私の着用サンプルのみ。先日私も、後輩の結婚式に出席する際にデビューさせたのが最初です。

せっかく最高のタキシードを作るのだから、それに合わせたボウタイやカマーバンドが欲しいなと思って、生地代理店マルキシの山口さんに取り扱いがないか聞いてみたところ「ちょうどロンドンのla Bowtiqueというブランドのボウタイを取り扱い始めたところなんです」とご提案をいただきました。ボウタイが31,900円、カマーバンドが57,200円。第一印象は「高っ!!!」というものでした笑 ただまあ、私がビビってどうするという気持ちもあったので、そのときはほとんど反射的に「じゃあそれひとつずつください」と自腹買いを決意し、山口さんに送ってもらったのです。
それからしばらくして、山口さんから「la Bowtiqueの社長のミカエルが来日することになって、弊社主催のパーティを開くのですが、よろしければご参加ください!」とイベントのお誘いがありました。2/23に東京トランクショーを予定していたので、約1週間後にまた東京かと悩む前に、15秒くらいで「行きます」と返信したのを覚えています。その証拠に、ほら、イベント会場の名簿の1番目にはTHE TRUNK BY OBOISTの私が載っていました笑

実は私は、TTBOを始めてから意図的に、同じ業界の方が集まるようなイベントに参加することを避けてきました。深い意味はありません、経験の浅い自分が同業他社の皆様と同じレベルで話をする自信がなかっただけです笑 ですので今回がデビュー戦でした。とても緊張していましたし、皆さんが何を着てこられるのかも分からなかったのですが、当然私は自分の店で作ったタキシードとla Bowtiqueのボウタイ・カマーバンドを身につけていきました。受付を済ませると山口さん、そして社長の岸さんらが出迎えてくれて「早いもの順!せっかくなら良い席へ」と一番前列に案内していただきました。後ろの方でポツンと聞いているつもりが・・・ますます緊張してきた。
会場にはすでに、la Bowtiqueの社長であるミカエル・コルオシュ氏が私の隣あたりでスタンバイしています。インスタの写真ではもちろん拝見していましたが、とりあえずめちゃくちゃ格好良いです。私のようにテーラーの方でイベントに参加されていたのは20名弱、流暢にミカエルさんと英語でコミュニケーションを取られている方もいらっしゃいましたが、同業の日本人相手でも緊張しているのにそんなことが出来るわけでもなくひたすら席から写真を撮ってイベントのスタートを待ちます。

イベントの前半は、ミカエルさんがいかにしてブランドを始めるに至ったのか、またla Bowtiqueとはどのようなブランドなのかについて、スライドショーとご自身でのご説明、そしてマルキシの岸社長が通訳するという形式で進んでいきました。

ハンツマンなど英国のテーラーで働いていたミカエルさんは、ドレスコードがブラックタイのとある格式高いパーティに参加された際「みんなスーツは素晴らしいけど、ボウタイがそれに見合っていない」と感じたそうです。テーラーに勤務する傍ら、2011年頃から自身でボウタイを副業でハンドメイドするようになり、週に1日だけだった副業がだんだんと2日になり、3日になり・・・


そして2023年にla Bowtiqueとしてブランドをスタートする直前、336ページ全てブラックタイのことだけを綴った本を完成させます。ミカエルさんによれば「ファッション誌の中で1,2ページボウタイの特集が組まれていることはあっても、一冊丸ごとブラックタイについて書かれた本は世界にこの一冊だけだ」とのこと。ブラックタイに特化したブランドを作るのであれば、世界中の誰よりもブラックタイに情熱を注ぐことの出来る人物でないと、la Bowtiqueのようにはなれないでしょう。ミカエルさんにはそれが出来たようです。試行錯誤を繰り返した結果、最高のボウタイを作るには生地から特注するしかないという結論に達したそうで、生地の企画から縫製、検品まで全て自社で行なっているとのことでした。

ブラックタイの着こなしには、ルールがあります。私はla Bowtiqueのインスタを拝見して「自由にフォーマルウェアを楽しんでいる」というように見えていたのですが、ミカエルさんの中には絶対に外してはいけないブラックタイの着こなしの確固たる規則があるようでした。基本的に18時以降(季節や国によって多少は変わってくるが)、拝絹仕様の一つ釦、ピークドラペルもしくはショールカラー、トラウザーズには側章を入れる、など。オケージョンやロケーション、オーディエンスの内容によっても、ガチガチの式典であればやはりブラックもしくはミッドナイトブルーのディナースーツにホワイトシャツ、そして黒いボウタイ。友人同士のパーティであれば、写真のように華やかな色のジャケットもOK(ただし襟を拝絹、一つ釦という仕様はきちんと守ること)、など。ちなみにこれもミカエルさんが話していたことですが、英国で初めて作られたディナージャケットというのは後のエドワード8世、プリンスオブウェールズがヘンリープールで仕立てたもので、これはブラックではなくミッドナイトブルーだったとのことでした。

当たり前なのかもしれませんが、ミカエルさんはボウタイを結ぶのがとても上手です。実際に目の前でレクチャーをしてくれました、片足立ちをしながら自身の大腿を使って、サササッと結んでいきます。これがもうスマートなのなんのって。愛知に帰ったらこれが出来るように毎日練習したくなりました。スクワットしながらやればダイエットにもなって一石二鳥。

そのほかにも、ブログへの掲載は出来ませんがla Bowtiqueを愛用している世界的な著名人や、誰でも知っている世界的なフランスのブランドのボウタイをla BowtiqueがOEMで請け負っているというような貴重な話も伺うことができました。前半の部の最後には、参加者からの質問を受け付ける時間があり「どんな些細なことでも構わない」ということでしたので、せっかくですし私も疑問に思っていたことを聞いてみました。私は自分のタキシードに合わせるシャツをマルヤスの安井さんにオーダーしたのですが、あえてレギュラーカラーにしたのはまさにla Bowtiqueのインスタ投稿写真を真似た為です。皆さんウィングカラーではなくレギュラーカラーのシャツに合わせていらっしゃるのが、どうしてなのかずっと気になっていたのです。
「どの国においても、ウィングカラーシャツにボウタイを合わせているスタイルが許容されていますが、本来はディナースーツにはレギュラーカラーシャツにボウタイを合わせるのがクラシックなスタイルなのです。ボウタイをウィングカラーに合わせるのは燕尾服を着るとき。間違っているとまでは言いませんが、我々はそうした理由でレギュラーカラーシャツを着ています」と明確な回答があり、非常に勉強になりました。そしておそらく私は金輪際、タキシードにウィングカラーシャツを合わせることはしないと思います。それほどミカエルさんのブラックタイへの真摯な向き合い方は、胸に響きました。

パーティの後半はドリンクやスナックが用意されていて、参加者の皆さんで懇親会でした。最後に質問したのが私だったこともあり、乾杯直前までミカエルさんが色々マンツーマンで丁寧に教えてくれました。フランス人であるミカエルさんに配慮して、岸社長のSanté!(サンテ)の音頭で乾杯をしました。


マルキシのスタッフさんにお願いして、ミカエルさんとのツーショットも撮っていただきました。こう見えて(?)ミカエルさんは37歳、同世代です。紳士的で、英語があまり話せない私にも日本語で話してくれました。la Bowtiqueはミカエルさんを入れてわずか4名体制、その中に日本人と英国人のハーフのスタッフがいるそうで、コミュニケーションを取るためにも独学で勉強されたそうです。4名という人数ですので、当然ミカエルさん自身も職人として手を動かしているとのことでした。

ミカエルさんと交流できたのはもちろん嬉しかったですが、参加者のテーラーの皆さんといろんなお話しが出来たのも貴重な機会となりました。東京の方がほとんどでしたが、愛知の三河安城から来た新参の田舎者にも皆さん優しくしてくれました笑 その昔ミカエルさんとハンツマン時代に同僚だったという里和さんにも挨拶することが出来ました。

山口さんはこの日はバーテンダーとして、ひたすら参加者の皆さんにお酒を振る舞っていました。本職のバーテンダーさながらで、私もジントニックを3,4杯作っていただきました。普段お世話担っている山口さんに入れてもらうお酒は一層美味しく感じました。

さて、このパーティに参加するとミカエルさんの書いた前述の本がいただけるというのは事前に聞いていたのですが、サプライズプレゼントを限定3名にミカエルさんが準備してくれたとのこと。アイスペールに参加者それぞれ名刺を入れて抽選だったのですが、こんな日に限って私はTTBOの名刺を補充してくるのを忘れてしまいまして・・・苦笑 イベント中何人かと名刺交換をするうちに切らしてしまっていたので、仕方がなく本業の方の名刺を入れました。岸社長が混ぜて、ミカエルさんが引きます。

お一人目もお二人目も、ベテランのテーラーの方が見事当選していました。リボンを解いてボックスを開けると、中にはそれぞれ別のデザインのla Bowtiqueオリジナルチーフが。日本国内では非売品のため、日本におそらく1枚しかない貴重なものです。チーフの絵は画家さんに描いてもらったものとのことで「私もEDOandYUMEKAに頼んでTTBOのチーフ、作ろうかな」などと考えていたところ、、、
なんと3人目の当選者、私でした・・・!笑 全く期待していなかったので慌てて前に出ます。本業の名刺だったので、会社名読み上げられたらそれはそれでまた各所への説明がややこしくなるなと思っていましたが、岸社長が配慮してくれたのか呼ばれたのは名前だけでした。タキシード姿で葉巻を吸う男性の絵が描かれたチーフです。最初ひっくり返して持ってしまって、ミカエルさんが上下を直してくれました笑

「いや本当に、持ってますよね!笑」と山口さんもびっくりされていました。私はこれまでもマルキシさんが企画したFOX BROTHERSのキャンペーンに2年連続で当選していたりと、まあそうでなくとも人生ずっと運が良いのです。TTBOカラーのグリーンが入っているのも嬉しいポイント。

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまって、最後にミカエルさんと握手をして会場を後にします。パーティの場で仲良くなった、ビスポークテーラーSOGTの高山さんが「この後、よかったら軽くどうですか」と誘っていただいて、二人で沖縄料理のお店へ行ってきました。
高山さんは英国での修行から帰ってきてから、IT系の仕事に就いたのちにご自身のテーラーを出されたという異色の経歴の持ち主(私もまあまあ異色かもしれませんが)。現在36歳、ひとつ上の先輩です。二次会の場では服の話よりも「最後、どうやって死にたい?」などといった哲学やポリシーについての話題で語り合いました。高山さんはwhenの小林さんとも面識があるようで「一度飲みに行こうってなったんですけど、タイミングが合わなくてまだ実現していなくて」とのことだったので、その場でコータに連絡をして今度3人で飲みに行こうという話になりました。TTBOの体制というのか、存在にもとても興味をもって話を聞いていただけて、私も嬉しくなりました。飲み始める前に「ちょっと手だけ洗って、妻に一本メールだけ入れてきます」と離席されたのも好印象でした。私が妻を愛し過ぎているからなのか、基本的に愛妻家の方とは気が合うのです。

「継続的にお会いしたいし、折半にしましょう」と割り勘で気持ちよく二次会を終えて駅へ向かいます。エスカレーターを降りていたら後ろから「コンバンハコンバンハコンバンハー!」とカタコトの日本語が降ってきて、振り返ってみたらなんとマルキシメンバーとの打ち上げを終えたミカエルさんが!! こんなに早くまた会えると思っていなくて、再会を祝してお互いに写真を撮り合いました。


ミカエルさんも奥さんと来日しているそうで、宿泊先の最寄り駅までの電車について高山さんが英語で説明してあげていました。というわけで、初めて業界のイベントというものに出席させていただいたのですが、まさかこんなにも素晴らしい一夜になるとは思ってもいませんでした。ミカエルさんに会えて、山口さんお手製のジントニックを飲んで、テーラーの知り合いが何人も出来て、抽選にも当たって・・・幸せだ。la Bowtique、これからも応援したいブランドのひとつになりました。TTBOでオーダー出来ますから、興味のある方はお気軽にご連絡くださいね。







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