ある日、ポストを開けると素敵な荷物が届いていました。
エンドウダイキさんと古江優生さんのお二人が中心となり、世に出すプロダクトとして着手した最初の服がこのシャツ、Dress Utility Shirtです。パタンナーさんや希望者と共に、一着のシャツが出来上がるまでの過程を公開しながら、皆さんが一丸となって取り組んでこられたものと認識しています。
古江さんにはまだ私はお会いしたことはありませんが、エンドウさんとはそれなりに長く(4~5年)やりとりをさせてもらっているので、服としてのクオリティは彼が作るなら間違い無いだろうとは思っていました。
「ドレスでもカジュアルでも活躍できる白シャツ」という肩書きですが、実際に袖を通すまではカジュアルメイン使い、ドレスはおまけ程度に考えていました。着られないことは無いが、いろんな面でドレスの装いに取り入れた時に空気感の違いが出てしまうのでは?と。それに個人的には、リバーシブル的な、水陸両用的なアイテムよりは、どっちかに振り切ったモノを選ぶことが普段なら多いので。
それが今朝、シャツを着てネクタイを締めてみると、想像以上にドレス顔なんですよね。それでいて、ものすごく着ていて心地良い。丸襟の大きさ、タックインした時の丈の長さ、カフスやカラーの芯材のかたさ、全てがまさに“ちょうど良い塩梅”。
休日出勤だったのでジャケットは無しでバーグファベルのコートと、GTAのウールチェックパンツを合わせてみました。良いんじゃないでしょうか。
靴はオボイストモデルをと思いましたが、想定以上のドレスさに気付いたらボレロのWedding Oxfordを合わせていました。
どんな服や靴をぶつけても、ちゃんと受け止めつつ芯はブレない、静かな主張のあるシャツ。決して他のアイテムからの圧に反発したりしない、すっと懐に入り込んでくる。まさにエンドウさんそのものじゃないですか。きっと古江さんも。
細かいポイントで特に気に入ったのは、他のボタンより一回り小さな2つ穴のガントレットボタンです。ここのボタン、私としてはやっぱりあった方が好きなのですが、それは肌が必要以上に見えないようにする機能性の為の欲しさであって、ボタン自体の主張があるとテーブルなどに引っ掛かったり邪魔だなと思っていたので、素晴らしいチョイスだと思います。
昔だったら、ボタンが分厚いことに満足感を覚えたりしていましたが、要は留めやすくて簡単にほつれないように縫ってあれば良いんですよね。大事にひとつひとつ付け外ししたくなるボタンでした。
間隔もサイズもちょうど良い。広めの間隔と小さめなボタン、まさにDress Utility Shirtだなと。確かにこれ以外に命名しようがない。ルックではタックアウトしてゆるく着ている写真が多かったですが、私はカジュアルでも基本的にタックインして着たいなと今のところ感じています。
第一ボタンは留めても外しても格好良いです。絶妙。
そして屋外で改めて観察してみると、このシャツ、白シャツなんだけど純白シャツではないんですよね。と言ってもほぼ真っ白、ほんの少しだけきな粉が混っちゃったくらいの感覚。実際にどうなのかは分からないです、生地の透け感や太陽の光でそう見えるだけなのかもしれません。でもとにかくとても良いニュアンスの生地だなと。
ナポリシャツの手仕事いっぱいな雰囲気でもなく、ビスポークのように身体に吸い付くようなシャツでもなく、全てがちょうど良い。「私は元来こういう服が好きなんだったな」と思い出させてくれるような良い服でした。マーガレットハウエルよりもう少し和のテイストを持った、着て出掛けてこそ真価を発揮する良きニッポンのシャツ。これからどんな風に育っていくのか楽しみです、このシャツも、彼らのブランドも。
コメント