THE TRUNK BY OBOIST

THE TRUNK BY OBOIST

主にInstagramで発信している通称「プロジェクトT」について、今お伝え出来る内容をブログの方でも残しておこうと思います。写真は少なめで、文章は長くなります。興味のある方向けです。割と熱いです。そしてたぶん、面白くないです。それでも自分にとって大切なことで気持ちを整理して置いておくためにも、ここに掲載します。

2012年から始まったこのブログは、このプロジェクトT、正式にはTHE TRUNK BY OBOISTで次のステージに入ります。2012-2017の最初の5年間はとにかく買ったものや好きなものをブログで紹介し続けました。最初始めたころはまだInstagramはほとんど誰も使っておらず(調べてみたら初めてのバージョンは2010年だそうでブログ開設より先でした)、私自身も大学生。バイト代のほとんどを革靴や服に使っていましたが、同級生にはエドワードグリーンやオールデンを履く人はおらず、既にファッションブログで情報を発信されていた少し年上の先輩ブロガーたちと交流するために年齢不詳顔出し無しでスタートしました。Mes favoris et musiqueの第一期と言えます。ちなみにブログタイトルもペンネームの“オボイスト”も、それほど深く考えずに決めました。これほど長く続くとは思いもしなかったので・・・。

ブログ開設5周年を記念して、初となるオフ会を開催してみました。顔の分からない方と会うのは初めてで私はガチガチに緊張していました。名古屋市内での食事会でしたが、東京や沼津など遠方からも読者の方が来てくれて、共通の趣味を持つ方々との交流がとても楽しいものであることを知りました。思えばこれが第二期の始まりでした。いろいろな規模のオフ会をする回数が増え始めて、2019年には読者を通じて紹介してもらったSewn shoe-makerとのコラボレーションシューズ“オボイストモデル”の企画が始まりました。これ以降のことはまだ読者の皆様の記憶にも新しいと思いますが、職人やデザイナー、クリエイターとのコラボレーションが続いていきます。また年に1回程度、Sewnとの展示受注会もスタート。こちらも全国から読者さんが多数お見えになる人気企画で、我々も展示会に向けて「次はこんなモデルを作ってみましょう」と打ち合わせを繰り返す日々です。

そして、第三期。THE TRUNK BY OBOISTはこれまでと全く違う次元の挑戦です。きっかけは2023年末頃、街を走っていて見かけた「空き店舗・テナント募集」の広告でした。いつか二人でお店をやりたいねと妻と話すことはありましたが、具体的にはこれまで一切考えてきませんでした。それがどういうことかこのタイミングで「やってみたいな」と心から思うことが出来たのです。

ブログコラボレーションアイテムでは原則としてお金を受け取ることなく展開してきました。それは「なるべく良いものを少しでも手に取りやすい価格」で展開していきたいという思いがあったことはもちろんです。しかしもうひとつ根本的に「私はプロではないから受け取る資格がない」という自分の中での線引きが明確にあったことが理由として挙げられます。私と一緒にブログオリジナルアイテムの開発に取り組んだ方々は全員がその道のプロです。しかし、私に関してはあくまで趣味の延長線上で「こんなことが出来たら楽しそう」「こんなものがあったら面白そう」というアイデアを作り手と共有してきただけであって、それは言ってみれば「誰でも出来ることとは思わないが、私でなくても出来ること」なのではないかとずっと感じてきました。私はプロとは「お金をもらって責任を負うこと」「その人にしか出来ないことをやること」という考えを持っています。これまでの私は例えば商品に何らかの不備や欠陥があったとしても何の責任も負えませんでしたし、私でないだれかが同じことをやろうと思えばやれるものだと思っていましたから、このブログを通してやってきたことを「プロの仕事」だと思ったことはありませんでした。(勘違いしてほしくないので補記しますが、コラボレーションアイテム自体は私自身が欲しいと思える仕様をプロに作ってもらったものばかりですから間違いなく“プロの仕事の結果”です。あくまで私個人の動きに関しての話です)

そんな思いが心のどこかにありながらも最初のコラボ開始から5年が経過しました。私のもとへは「あのシャツを頼みたいからついてきて」「時計ベルトを頼みたいから案内して」「一緒に靴屋に行きたい」「スーツ工場に行ってみたい」といったご依頼がそれなりに増えてきました。今この瞬間、ふと自分の状況を俯瞰してみると、私の周りにはいつでも私がプロとして走り出すことが出来るような人脈が揃っていました。靴職人も鞄職人もシャツ職人もいます、既成品のデザイナーもいれば画家もwebデザイナーもジュエリー職人眼鏡職人まで、ありとあらゆる道に精通したプロフェッショナルに囲まれていました。ここで私はあることにようやく気が付きます。「私は企画のプロではないけれど、人と繋がったり人を繋げたりすることに関しては実は誰よりも優れた能力を持っているのではないか」と、やっと、思うことが出来たのです。私の周りにいる素晴らしい方々は、本当に奇跡的なご縁の連鎖で出会った方たちばかりです。これについては常々“自分はなんて運が良いんだろう”と思ってきましたが、これがもし運ではなく実力だとしたなら、自分はプロと名乗ることが出来るのではないかと。

またもう一点、私は「人の信頼を得て、モノを売ること」を本業での主な仕事としてきました。こちらに関して私は、自分で言うのもなんですが常にトップクラスの実績を残してきました。会社に入って11年、プロとしてプライドを持って仕事に打ち込んできました。Sewnとの展示受注会を通しても感じていることですが、仕事で身に着けた営業力と商談力および提案力は、商材が何であっても応用することが出来ると思っています。

人の信頼を得るには、当たり前のことを当たり前以上に実施し続けなければなりません。営業力や商談力というのは何も口が上手いとか、話が上手いとかそういうことではありません。むしろ私は喋り下手な方だと思います。お客様(今は社内の部下たちも含む)のことをよく知り、困ったときに頼りになって、どうしたら一番相手に喜んでもらえるのか考え続けることが私の仕事です。この本業で得た力と、運だか実力だか分かりませんが素敵な人たちと繋がっている現状を組み合わせて、本業以外の誰かのために役立てることは出来ないかと考えた結果が『THE TRUNK BY OBOIST』です。

誰もがリスクの低いネットショップをまずは開設する時代に、私はリアルな店舗を構えます。なぜか?ネットショップでモノを売るだけでは全く私がやる意味がないからです。人と人を繋ぐことに長けた(と思い込むことにする)私がやるならば、人と人が交流できる場の提供をするのが一番です。全世界のクリエイターたちを招致し、心を震わす作品とモノづくりに人生を捧げる熱意、そして作り手の魅力的な人間性をお客様に直接感じていただく。そのためにはどうしたって「オボイストの城」が必要となります。

また、既に世の中にある無数のセレクトショップと同じようにたくさん在庫を仕入れてたくさん売るスタイルも、私にはマッチしません。私は会社に申請をした上で(既に済んでいます)本業を続けながらTHE TRUNK BY OBOISTの運営をしていくことになります。まともに店を開けられるのはせいぜい週に1日か2日です。そのスタイルで私にしか出来ないこと、私がやる意義があることとは何かを考えました。それは、

・様々なクリエイターを招いてトランクショーを開催してもらう

・その中でもTHE TRUNK BY OBOISTでしか手に入らないアイテムを揃える

というアイデアです。まず私は周りのクリエイターたちに連絡を取りました。「もし私がお店を始めたら、付き合ってもらえますか? 迷惑じゃないですか?」と一人ずつ聞いて回りました。まだお店の名前もちゃんと決まっていない段階で、お店の雰囲気もちゃんとした場所も決まっていないというのに「良いですね!」「いよいよですね!」「いつかやると思ってました!」とほとんどすべての方々が私の考えを支持してくれました。ブログを開設してからこれまでの12年間で残してきた軌跡が、線になって繫がっていく。感動しました。なんて素晴らしい仲間に恵まれたのだろうと。こんな幸せ者が他にいるのだろうかと。

THE TRUNK BY OBOISTのオープンに向けて、やることは無限にあります。というより私がやりたいことを実現するために動き回っているので、やることがどんどん増えていきます。これが大変で、面白くて、病みつきになります。アルデックスとはTHE TRUNK BY OBOISTでしか頼むことの出来ないブリティッシュスタイルのスーツ開発に取り組んでいますし、Sewnとはショップ限定のチゼルトゥラストやK18ピンクゴールドメッキギボシの取り扱い開始の準備をしています。SHINYA全面監修のショップオリジナルシャツと、時在服飾設計に生地別注をしたシャツのパターンオーダーも始めます。今までコラボレーションはしていなかった職人や時計屋のポップアップも決まっています。縁が縁を呼び、新しい出会いも続々と。私にとって天国のような空間が、もうすぐ誕生します。読者の皆様にも必ず、喜んでもらえるはずです。オープン予定日の5月1日まで、是非楽しみに待っていてください。

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