クロノトウキョウの受け取りから24時間もしないうちに、私はSusieSveltへ向かっていました。たくさんの読者の皆様にオボイストウォッチストラップをオーダーいただいている私が、新しい時計を手に入れたのにオーダーしないなんてあり得ないよなと。時計がデリバリーされるまでの間ずっとどんな素材が良いか考えていたのですが、実物を見てすぐに構想が固まり鈴木さんに連絡。思い立ったら即行動。
今回私が鈴木さんに相談したストラップのポイントは、
- スエード素材を使ったオボイストウォッチストラップ
- ライニングには別素材を採用し、オボイストウォッチストラップ特有の折り返し部分で敢えて異なる素材感を強調
という2つです。ミウラな日々さんと友人Zさんのお二人をSusieへご案内した際「裏側が違う革だと一体感を欠いてしまっておかしくならないか?」というテーマが浮上し、結局Zさんにはオボイストウォッチストラップではない通常のストラップでオーダーをいただいたのですが、私はそれ以来「素材が違うことによって格好良くなる組み合わせはどんなものだろう?」ということを考えてきました。確かに、別素材を用いる場合に革の素材感や色のトーンなどを考慮しなかったとしたら、折り返し部分の素材が違うことにネガティブな意識が向いてしまうことでしょう。それが起きない組み合わせとして試してみたかったのが、スエード×スムースレザー(なるべく上級でハリのあるカーフ)でした。
鈴木さんから「スーパーバックなどのスエードは薄く漉いた時に革がボロボロになってしまうので時計ストラップには適さない。ピッグスエードか、もしくはバックスキンやヌバックなどが良いかも」と専門家の意見をいただき、ピッグスエードのスワッチを見ながらイメージを。今回はなるべく濃いブラウンが良いと思っていました。
ステッチ見本を見ながら完成図をイメージしていきます。既に34mmオーナーの皆さんが装着されているベルトの画像などで自分の好みは大体把握出来ているのですが、誰かの真似をするだけでは満足できないのが私の長所であり短所でもあります。
そんな中「このトナカイの裏側を使うのが良いかも」と鈴木さんが出してきてくれたのがこちら。色合いも理想的ですし、トナカイ革の柔らかい感じもとても気持ちが良い。またトナカイは「天然のウォッシャブル素材」とも言われ水にも強い性質を持っているとのことですから、汗をかいたり場面によっては水濡れもあり得る時計ストラップにはもってこいの素材。革はこれでいくこととし、肝心なステッチに関してはパーシモンの文字盤に近いゴールドカラーのリネンにしました。ケースの小さなこの時計の雰囲気に合わせて、TYPE1Cに使ったものよりも細い糸を用意していただきます。
柔らかいトナカイを支えるライニングには、鈴木さん一押しのフレンチボックスカーフ(多分HAAS製?)を使うことにしました。表と裏を違う革で作る場合、私の考えでは「色のトーンは寄せて、革の表情は寄せない」がポイントじゃないかと考えました。例えば表にリザードを持ってきた場合に、裏に細かい型押しカーフを使うとなれば一見したところでは似て見えますが、やはり天然のエキゾチックレザーと型押しを比べれば「寄せたはずなのに違う」ことを残念に感じてしまうと思います。それであれば、最初から全く異なる表情を持った革同士、今回であれば起毛革とスムースレザーを組み合わせるのが吉かなと。ただそれもシンプルな服装が多い私には色を変えるほどの主張は要らないため、色のトーンだけは揃えてあげたほうが浮かないかなと考えた次第です。
というわけで、くどくど御託を並べましたが無事クロノトウキョウ用のオボイストウォッチストラップのオーダーが完了しました。出来上がりまでは皆さんと同じく4ヶ月ほどかかりそうですので、それまでは純正のストラップを存分に味わいたいと思います。
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