Instagram・Twitterで以前よりお付き合いさせてもらっているまゆこんさんが愛知県に遊びにいらっしゃるということで、仲の良い愛知県組全員で休みを合わせて「愛知県好きにさせ隊」を結成、丸一日愛知県ツアーを組みました。私の車でメンバーを順番に拾っていきます、まずはご近所に住む汗だくさん・ぱにさんご夫妻を乗せて、豊橋駅でおかてつさんと主役のまゆこんさん。ちなみに今回の記事に使わせていただいている写真は半分以上がぱにさん撮影のハイクオリティショットです、終日重たいカメラを提げて同行いただいたぱにさん、いつも素敵な写真をたくさん提供いただきありがとうございます!
最初の目的地は今回まゆこんさんが愛知に来る最大の目的となったアルデックス。豊橋市に本社を置く歴史ある紳士服工場ですが、まゆこんさんは東京の直営店にてスーツをオーダーされ、その際に担当された普段豊橋にいらっしゃる職人さんの素晴らしい接客に心を打たれ、東京ではなく豊橋での受け取りを希望されたそう。この職人さんについては詳しく後述しますが、まゆこんさんが感動されたわけを一同身をもって体感することになります。初めましてのまゆこんさんは少々緊張気味、私も初めてオフ会をした時は大変ドキドキしたものですが、今となっては休日に読者の方やフォロワーさんと語り合い色んな体験をすることが心から楽しめるひと時になっています。イルミーチョのリバーシブルトート(これはMAXさんが東京で買っておいてくれたものだそうです)にタイユアタイ別注マリーニのスエードシングルモンクを合わせて力の抜けた装い。非常に物腰柔らかく丁寧な若きジェントルマンです。
テニスコートが併設された長閑な風景、長い歴史を持ちながら風通しの良さそうな澄んだ空気を湛えたアルデックス本社直営店。今回はまゆこんさんからお願いしてもらって担当者の方に併設された工場も見学させてもらう予定になっていましたが、まずはオーダーされたスーツの受け取りから。
まゆこんさんの心を掴んだ職人の小島匠太郎さんが我々を出迎えてくれます。60年以上の歴史を誇るアルデックスの職人ということで、大ベテランかと思いきや、29歳の超絶なイケメンでした。若き工場次長小島さんの立ち居振る舞いからは、研鑽を積まれた職人としての揺るぎない自信が漂っていて、一体どんなものを作られているのかにわかに興味が湧いてきます。
今回まゆこんさんがオーダーされたのはフィレンツェのスタイルを踏襲したマシンメイドとビスポークのハイブリッドライン。美しいラペル周りにまず目を引かれますが、この辺りは完全に手縫いで作られているそうです。「友人の結婚式用に」ということで至ってシンプルなネイビースーツですが、余計な装飾がないからこそ仕立ての良さが際立ちます。仮縫い無しのオーダー体系ではあるものの、まゆこんさん曰く「他では体験したことがないほどありとあらゆる細かい箇所まで」採寸を受けられたとのこと。まゆこんさんきっての願いで、小島さんが直々に作り上げてくれたそうです。
愛知組の4人から興味津々な視線とカメラを遠慮なく向けられ続けて緊張が高まるまゆこんさんですが、着られた瞬間「肩に乗っている感じがしてとても気持ちが良い」と喜びを隠しきれない表情。「次回オーダーいただく時のために」と小島さんによるフィッティングチェックが入ります。
店舗二階ではオーダーサンプルも展示されていて、ダブルブレステッドのジャケットの他に、デニム生地で作られたフレンチワークジャケットや極上のキャメルで作られたハリントンジャケット、さらにはブリティッシュミラレーンのオイルドコットンで作られたコートまで幅広いです。
アルデックスの職人にはこの道何十年のベテランから熱い心を持った若き職人まで老若男女いらっしゃるようですが、この辺りの商品は若いスタッフの熱意から生まれたものばかりだそう。ハリントンジャケットもコートも、服好きなら1着は欲しくなるものですが、アルデックスならそれが自分のためだけに仕立てる1着としてオーダー出来るのだからこんなに嬉しいことはありません。あえてスーツ屋さんならではのラグジュアリーな生地を使って、トレンチコートやハリントンジャケットを作るのも良いですね。全部欲しいわ。。。
真剣に小島さんの説明に耳を傾ける4人衆。何よりアルデックスで感じたのは、作っている職人さんご本人がとにかく重度の「服好き」であることがダイレクトに伝わってくること。汗だくさんなんかはかなり早い段階から「こんなのもう・・・最高すぎてオーダーするしかないやつですやん」と心を奪われてしまっていました。かくいう私も、何か小島さんに頼みたいという気持ちはこの時点でほぼ確定事項として横たわっていましたが。
ここからはみんなで仲良く試着大会です。汗だくさんが着られているのが一枚袖のオイルドコットンコートですが、小島さん曰くこちらは「普通はなかなか縫えない生地なんだけど“なんとかやらせてくれ”という服好き社員の想いから実現した企画」ということで、こうしたストーリーは我々消費者の心を動かすのに十分すぎる説得力。初めてお会いした日にもヴィンテージのバーバリーを着ていた汗だくさんにとってもこのコートはストライクゾーンど真ん中、最初のオーダーかどうかは置いておいてそう遠くないうちにきっと手に入れられることと思います。ちなみにご希望の場合ウェストベルトなども追加出来るそうですよ。
私とまゆこんさんが着ているのはキャメルヘアーのハリントンジャケット。コットンポリなどの素材が多いG9型を贅沢な素材でたっぷり仕立てる・・・まさに紳士の休日。タイドアップしたシャツの上に羽織ってドレッシーに合わせたいですね。
おかてつさんとぱにさんが纏っている変形ジャケット。小島さんがいうには「ヴィンテージの再構築だが、余計な手を加えると一気にダサくなってしまうからなるべく忠実に再現した」というこちら。ぱにさんのように小柄な女性がオーバーサイズで羽織っても可愛いです。おかてつさんとは「Fendart好きには絶対刺さるやつ」と盛り上がってました。
みんなから「オボさん着てそう」と持て囃されて試着してみたダブルのコートは柔らかく包み込まれるような着心地で、確かに私好みのバランスの良いコートでした。オーダー価格を聞いてみましたが思っていた以上にリーズナブル。みんなで楽しく試着しているうちに頭の中は「さて何を頼もうか」ということでいっぱいになっていました。
「バンチは一階にございます」と小島さんに率いられ一同はそれぞれの頭の中、ワクワク感が止まらない状態で移動します。ここでも驚くほど上手に、オーダーせずにはいられないような小島さんのプレゼン力が遺憾なく発揮されます。ただ自分でバンチを捲りながら選ぶオーダーではなく、完全に作り手主導の「アレ仕立てるならコレ、何故なら・・・!」というスタイルでとにかくアツいんです。服に詳しいオーダー主なら小島さんと洋服談義するのも良し、私のように知識のない雰囲気服好きは競りにかけられるマグロになったつもりで小島さんにお任せするのも良し。この辺りで話していて気が付いたのですが、小島さんは私のことを認知していてくれました。「Sewnさんとコラボされているのを見て“うちにも来てくれないかな”なんて思ってました」と問題発言が飛び出る一幕も。なんか、燃えてきたよ。
気付いたらあっという間に入店から1時間が経過していて「このままではこの後見学をする前に工場が12時のお昼休憩に入っちゃう」とひとまずここにいる誰もが「オーダーをする」という意志だけを固めて、店舗裏手にあるアルデックスの工場へ。ここで見た光景はこれまた驚きの連続だったわけですが、導入編だけでかなり長くなってしまったので次回に続きます。
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