推しと読者と、時々、文二郎。(靴磨き選手権大会2023編)

Diary

しばらくブログを離れている間に、書きたいことはたくさんたまっていて・・・性格的に旬な話についてのほうが良い記事(当社比)になる傾向が強いので、一人旅シリーズ第二弾として大阪日帰り旅行について書きます。

妻に知られるのを何となく回避するために公言していませんでしたが、私は長濱ねるさんのファンです。読書が好きなこととファッション好きという2点から親近感を覚え、ブルータスのエッセイを購読していたのですが、そのエッセイが一冊の本にまとめられ出版されることになりました。出版記念としてご本人からのお渡し会が東京と大阪で開催されるということで「どうせ当たらないだろうけど・・・」と軽い気持ちで大阪会場の抽選に申し込んでみたところなんと当選。仕事を休んで駆けつけることにしました。

せっかく大阪へ行くならと他にも予定もいくつか入れ込んで、朝早く新幹線に乗って出発。東京や大阪など新幹線で行くとき、いつもJR東海ツアーズのずらし旅を利用します。名古屋-大阪間だと往復で約1万円、それに現地で使えるクーポン(体験・グルメ・サービス)がついてきますのでお得で助かってます。今回は新大阪に10時頃到着し、クーポンを使って朝ごはんにすじねぎ焼きをいただきました。一人旅の始まりという感じで、ワクワクしてきます。

この日は偶然靴磨き選手権大会2023の1st Roundが大阪で開催される日で、ねるさんのお渡し会の集合時間まで時間があったので少し覗いていくことに。会場である阪急うめだホールへ向かいます。受付開始5分前くらいに到着しましたが、既に列が出来ていました。

有料チケットがあれば間近で座って観戦できるのですが、立ち寄っただけの私は立ち見ゾーンへと進んでいきます。実際に大会が始まるまではまだ少し時間があって、会場内では物販や靴のオーダーが出来るスペースなどもあり少し見て回ることに。

入り口付近ではArch KerryとSANTARIのオーダー会が実施されていました。Arch Kerryはまるすけさんが持っていますが実物を見るのは今回が初めて。「サイズが合えばお買い得」というセール品も数足並んでいました。SANTARIは柔らかい仕立てのオーストリッチスリッポンが気になりましたが、とりあえずこれから私のところへやってくるSewnとの新作なども考慮すると靴はこれ以上増やしたくない、増やすなら減らさないといけないと考えているので一旦スルー。

会場後方ではトレーディングポストとロイドフットウェアの既製品が展示されていました。トレポスの靴はこの日の大会の課題靴に採用されていていました。

私が気になったのはホール受付スペースでの物販です。以前おかてつさんから靴磨き選手権のネルをプレゼントしてもらったことがあったのを思い出し、最近靴を買いまくっている汗だくさんの分とあわせてお二人にお土産で買っていってあげようと、ねるに会いに来てネルを買う展開に。私の分ももちろん買ったのですが、なかなか最近一般では入手が難しくなってきている江戸屋のブラシが売っていました。

10年以上使っているサフィールの大判馬毛ブラシが使いやすいので普段の埃払い用には困っていないのですが、靴磨きの工程で使うには少し大振りでしたので1つ持って帰ることに。ネルのお土産とブラシゲットについて、おかてつ汗だくオボイストLINEで報告すると「僕の分もお願いしていいですか?」と汗だくさんから返信がありましたので、もうひとつ追加で馬毛を購入します。

ブラシは持ち手の中央に靴磨き選手権大会のロゴがあしらわれていてなかなか格好良い。金沢のKOKONで輪島塗されたブラシも素晴らしかったですが、これもまた旅の思い出に末永く活躍してくれるはず。

限定品をゲットできたことに満足していると、ロビーにオリエンタルシューズの細見大輔さんを発見。元TWTGで靴磨き選手権2020の優勝者である細見さんは、インスタでマメにイイネをくださるので一度ご挨拶しないとと思いながらも実際お会いするのは今回が初めて。「こんにちは、オボイストですけど・・・」とこちらから話しかけると、気さくにお話ししてくれました。今回は有料チケットを自費で購入し、完全な観客として会場に来られているということ。先日結婚記念日に京都で手に取ったオリエンタルの靴の印象についてなど、少しの間談笑しているだけでも細見さんの真面目な人柄が伝わってきます。他にも界隈で有名な方たちを何人か見かけましたが、あまり目立ちたくなかったので一旦同フロアのスタバで休憩してから、開会式の時間に再入場。

司会の方から大会のスケジュールやルールなどについてしっかりめに説明があったのち、1組目の選手たちが入場されます。時間的に私が見られるのは1組目のみでしたが、靴磨きを本業にしている方もいれば靴のリペア職人、はたまた全く靴とは関係のない仕事をされている方もいましたし、中には大学生の方もいらっしゃいました。独特な雰囲気の中、大会に協賛しているSEIKOの大きなストップウォッチを使って戦いの火蓋が切られます。課題靴はトレーディングポストオリジナルの黒のストレートチップ、10分間で片足のみというルールでした。

審査員陣も靴磨きやパティーヌ業界の第一人者ばかり。レジェンドたちに自分の磨いた靴をじっくり見られるというのは、それなりに勇気のいることだろうなと・・・私もオーボエのプロの前で課題曲を吹くときはいつもとても緊張しました。「自分のスタイルはこれだ」とはっきりとした自我を持っているはずなのに、いざそれがプロ目線での採点を受けるとなると「本当にこれで正しいのだろうか」と不安になるものです。不安に打ち勝つにはひたすら練習を重ねるしかなかったので、今回の出場選手たちもこの日に向けて腕が壊れる寸前まで磨きこまれてきたのではないでしょうか。大会の結果や今後プロとして食べていけるのかどうかはともかく、それだけでまず称賛に値するものだと私は思います。

始まってからの10分で、司会の方々が選手たちに一言インタビューを行っていました。対人で行われる靴磨きサービスは手を動かしながら楽しくお話もしなくちゃいけないから大変ですね。私は2つのことを同時に行うことが苦手ですので尊敬します。磨くなら磨く、話すなら話すばっかりになってしまいそう。

そんなことを考えている間にも10分間はすぐに過ぎてしまい試合終了。レジェンドたちがまじまじと出来栄えをチェックしていきます。磨き手の名前はこの時点で伏せられているので、ここではあくまで仕上がりのチェック。残念ながら立見席からは靴自体はほとんど見えませんでしたが、帰ってからYouTubeで動画を確認してみると確かに磨き手によって個性があることが分かります。このあと東京Roundが実施されたのち、決勝戦を経て今年の優勝者が決まるようです。靴磨き選手権の現場に居合わせたのは今回が初めてでしたが、貴重なものを見せていただきました。出場された選手の皆様、運営に携わっている皆様、ありがとうございました。(つづく)

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